屋久島がオープンソースCMSで情報発信 手軽な更新でアクセス急増
「ITとはほど遠い地域」だった屋久町が、地域情報のネット配信に力を入れている。オープンソースCMSを使い、100万円で新サイトを構築。ブログ感覚で更新でき、PVも急増しているという。
「ITとはほど遠い地域」だった屋久島の自治体が、合併をきっかけに地域情報や観光情報のネット配信に力を入れ始めた。
鹿児島県屋久町は今年3月、町のサイトをリニューアル。休日の当番医のお知らせや、フェリーの運航情報といった生活情報、イベントカレンダーなど観光情報の配信を始めた。
新サイトの構築には、国立情報学研究所(NII)が開発したXOOPSベースのオープンソースCMS「NetCommons」を活用。サーバ費用と合わせて100万円と低予算で構築でき、年間の維持費も100万円程度で済むという。
サイトをブログ感覚で更新でき、HTMLの知識のない職員も更新するようになって更新頻度が上昇。ページビュー(PV)も急増している。
「ITとはほど遠い地域」
屋久島町は、屋久島と、隣接する口永良部島(くちのえらぶしま)にあった2つの町(上屋久町・屋久町)が昨年10月合併して発足した。人口は1万3735人。屋久島は世界遺産に登録されており、年間30万人の観光客が訪れるなど、観光は町の重要な産業の1つだ。
「屋久島町はITとはほど遠い地域」と、日高典孝副町長は話す。ネット普及率は全世帯の約3割。光回線はなく、ADSL率は上がっているものの、メインは今もISDNだ。
旧自治体はそれぞれサイトを持っていたが、観光やUターン・Iターンなどの情報は少なく、検索サイトで調べても上位に表示されない状態。数年前に開設した上屋久町のサイトは累計でも約12万PVに過ぎなかったという。合併を期に両町のサイトを統合し、リニューアルを決めた。
安くて、サイトの更新が簡単なCMSを
町内6カ所にある庁舎にいる職員が、誰でも簡単にサイトを管理・更新でき、低コストで導入できる――そんな仕組みを探し、白羽の矢を立てたのがNetCommonsだった。
NetCommonsはNIIが無償提供しているオープンソースCMS。「ワープロなら使えるかな、という程度の知識しかないわたしでも更新できる」(日高副町長)という扱いの簡単さが特徴で、ブログ感覚で更新できる。スケジュールを管理したり、ファイルをアップロードして共有するなど、グループウェアとしての機能も備えている。
2005年にオープンソースとして公開され、これまでに学校や自治体など1500以上の団体に導入されているという。
町の新サイトは、ネットに詳しい地元の中学校教師に50万円で構築してもらった。NIIにバックアップサーバの設定を依頼する費用や、サーバレンタルの費用を含めても合計で100万円で済んだ。
サイトには、町長のブログやイベントカレンダー、天気予報や観光案内といった情報をそろえた。屋久島町のニュースもほぼ毎日更新している。地元の英語指導教員に屋久島町のサイトを翻訳してもらい、英語版も公開した。
これまで町内放送や郵便で告知していた、防災無線情報やフェリーの運航情報、休日の当番医のお知らせなど、生活情報も即時に配信できるようになり、PVも急増。公開から3カ月で11万を超えた。
日高副町長は「Webサイトを通じて多くの人に屋久島を知ってもらいたい。近いうちに7割くらいの職員がサイトの更新をできるようにしていく」と話している。
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