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テレビ遠隔視聴サービス、著作権侵害で賠償命じる判決
HDDレコーダー親機で日本のテレビ番組を録画し、海外の子機にネット経由で転送するサービスが、テレビ局の著作権を侵害しているとして、東京地裁はサービス運営元に、計約730万円の支払いと、機器の廃棄を命じる判決を出した。
HDDレコーダー親機で日本のテレビ番組を録画し、海外の子機にネット経由で転送するサービスが、テレビ局の著作権(複製権)を侵害しているとしてNHKと民放局9社が、サービス運営元・日本デジタル家電(静岡県浜松市)を相手取って損害賠償などを求めていた裁判ので、東京地裁は5月28日、計約730万円の支払いと、機器の廃棄を命じる判決を出した。
日本デジタル家電は、HDDレコーダー「ロクラクII」2台をユーザーにレンタルする「親子ビデオ」を、月額8500円で提供。日本国内に設置したロクラクII親機でテレビ番組を録画し、海外のロクラクII子機にメールで転送して視聴できる仕組みだ。
裁判では、国内に設置したロクラクII親機での番組の複製(録画)主体が、日本デジタル家電なのか、利用者自身なのかが争われていた。
日本デジタル家電は「当社は機器は賃貸しているだけで、管理・支配していないため、番組の複製主体には当たらない」などと主張していたが、判決では「同社は機器の設置場所を提供するなど、複製を実質的に管理・支配し、それによって利益を得ている」と指摘。同社が複製の主体となっていると認め、利用者が複製主体という主張を退けた。
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