美人の男性メイドが「お帰りなさいませ」 “精神的ブラクラ喫茶”に潜入した(2/2 ページ)
「お帰りなさいませ、お嬢様」――メイドさんは定番フレーズで記者を迎える。メイド服に身を包んだ長身の美人たち。だがよく見ると、みな男性だ。
さて、このお店のメニューはというと、なかなか豊富なのが特徴だ。「精神的ブラクラパフェ」なるものを注文してみたが、このパフェよく見ると……カレーだ。まさにブラクラ!
メイド喫茶ならではのメニュー、すなわちメイドさんと一緒に楽しめるメニューももちろんある。オムライスやアイスクリームなどには、メイドさんがケチャップやチョコレートを使ってその場で絵を描いてくれるし、「恐怖悶絶? ロシアン! ゲロマズ〜たこ焼き」ではメイドさんと対決できる。負けるとかなりつらいらしく、涙目のメイドが厨房前で「水!水!」と慌てふためく姿を何度も見た。体力がいるってこういうことだったのか。
この女装メイド喫茶は、たまにネタ企画を行うことがある。これまで一番人気だったのは「メイドラーメン屋」。200食程度の売り上げを予想していたのだが、店に来た客は倍の400人。席数の限界もあり、定員オーバーの客には泣く泣く帰っていただいたのだった。
6月末にはメイドのライブイベントも開催する。新しい企画は尽きない。
なぜ人は女装するのか
かいがいしく働く女装メイドの姿を間近で見つつ、記者にはどうしても不思議でならないことがあった。
なぜ彼らは女装をするのだろうか。紗厘ちゃぁ〜んに聞くと「変身願望の1つのようです。戦隊ヒーローに憧れたりするじゃないですか。それが女の子の服だったというだけで」という返事。
彼らが女性服を着るきっかけでもっとも多いのは、「自分の彼女に着せられて」だのだという。
メイドさんの中にはこんな人もいる。ある雑誌を読んでいたら、ものすごくかわいいファッションの人がいた。だが、それがじつは男性だと知り、「こういう格好をしてみたい!」と思い、今に至ったのだそうだ。
ムダ毛処理も完璧です
彼らの女装へのこだわりは細部にわたる。ヘアメイクはもちろん、ムダ毛の処理も怠らない。二ーソックスをはいているのはスネ毛を隠すためかと思ったのだが、決してそうではなく、彼らのおみあしは女性以上にきれいに手入れされたものだった。
男性が女性の格好をするわけだから、つまりこの女装姿こそが、男性の理想がもっとも具現化した姿でもあるわけだ。カップルで来ていた客の中でも、女装メイドたちの姿を見ながら上の空になっている姿を何人も見かけたが、彼らもここに来るまでは自分がそんな反応をすることになるとは思うまい。
だが、紗厘ちゃぁ〜んは言う。「彼らと働く上でのいい点は、男だから無謀な企画をしても大丈夫なところ。普通のメイドカフェぢゃあ〜こうはいきません」
そう、女装をしているとはいえ彼らは普段は普通の男性。スタッフ間の雰囲気は居酒屋のノリに近いようだ。そこが妙に健全な雰囲気を醸し出していて、女性の心をくすぐるのかもしれない。
「いずれは常設の店にしたいですね。たとえそれが無理でも毎週オープンなら可能だと思います」と紗厘ちゃぁ〜んは目標を語る。
現在は目立ったライバル店もなく、まさに新ジャンルである精神的ブラクラ喫茶。たまには女性メイドさんではなく、美形揃いでサービス精神旺盛な男性メイドさんたちに癒されるのもいいのではないだろうか。
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