デブによるデブのためのサイト「D30」 発起人(体重104キロ)に迫る (1/2 ページ)
「セデブ」(素敵なデブ)を応援したい――体脂肪率30%以上の“D(デブ)”のためのWebマガジン「D30」は、Dの編集者が自らの経験をいかして編集している。発起人の痛風男さんは「Dの意識を改革していきたい」という。
「通称メタボ検診が始まり、“D(デブ)”な我々の迫害が始まった」――やせていることが良いとされる風潮のこの時代に、真っ向から反抗するWebマガジンがある。6月11日に創刊されたばかりの「D30」だ。
Dとは体脂肪率30%以上の人のこと。D30は「健康で素敵で一緒にいると幸せになる太った人を応援するサイト」といい、編集者も全員Dという。
Dな著名人が前向きにDライフを語る「D-PEOPLE」、おしゃれ心はあっても気に入る服がないというDにファッションアイテムを紹介する「D-FASHION」、おすすめのブランド肉を紹介する「今月の肉!」など、記事ラインアップはDならでは。Dに関するニュースを配信する「DEBOO!NEWS!!」というコーナーもある。
Dにやさしい旅行プランを紹介する「D-TRIP」では、北海道・十勝を取り上げ、「誰もが厚着をしないと寒さに耐えられない北の大地。そこにDの天国は存在する」「車移動の十勝の旅は、Dのひざへの負担も軽い」とDならではの解説が付く。
D向けのレストランを紹介する「D-RESTAURANT」では、「ヒップ128センチのおしりを包み込んでくれるソファに座れば、いつも以上に食事も進む」「3階まで階段。エレベーターなし。Dには最初の関門だろう」と、メニュー以外のチェックもぬかりない。
創刊したのは「Dライフスタイル創造研究所」(D創研)という謎のグループ。D30を創刊したのはなぜなのか、編集者はどんな人たちなのか、Dの日常とはどんなものなのか。D創研の発起人、痛風男(いたいかぜお・ペンネーム)さんに聞いてみた。
白いシャツにジーンズというさわやかな格好で現れた痛さん。シャツからはちきれそうな腹の肉の下に、かすかにベルトが見える。いすに座ると、腹の肉で完全にベルトが隠れてしまった。シャツはボタンが2列に並んでいる。おしゃれとボタンがはじけ飛ばない工夫を兼ねているという。
「セデブ」と「すデブ」
――「世の中に知られていないDの世界があることに気がついた」とサイトに書かれていましたが、D30を企画したきっかけは。
私の周りにはポジティブなDが多く「これは何かあるんじゃないか」と思ったことがきっかけです。健康で素敵、そして一緒にいると幸せになる太った人を応援したいんです。
――「なぜ、人は太っていてはいけないのか。健康で楽しい人生ならば、むしろ多少太っていても問題ないのではないだろうか。実は太っている人の方が、人生を楽しんでおおらかに生きている人が多いのではないだろうか。今こそDが立ち上がるべきである」といったメッセージもありました。
やせたいと願う人は多いようですが、そもそも大切なのは生き方なんじゃないの? と伝えたいです。
南米などでは、太っていることが豊かさや幸せの象徴です。日本でも“幸せ太り”という言葉はあっても、“幸せやせ”という言葉はないじゃないですか。もちろん健康であることは大前提です。
これまで、D向けのコンテンツとしては「元祖でぶや」(テレビ東京)や大食い番組のようなものはありますが、Dの魅力やかっこいいDを提案するものはなかったと思います。
――痛さんの周りにはDの方が多いんですか。
「セデブ」が多いです。
――セデブ?
「素敵なデブ」で、セデブです。ただのデブなら「すデブ」です。
日本はDの天国だ
――「今月の肉!」に掲載された霜降り肉はおいしそうですね。
私の一番好きな食べ物が肉です。肉に求めるのは量ではなく、質の高い脂です。
――脂……ですか。
体の3割が脂肪なので、どういう脂を採るかが大事なんです。脂の質は、どんな状況で育てられた肉なのかで決まります。これまで食べて1番おいしかったのは大田原牛です。
――「食」にこだわっているんですね。
野菜を農場から取り寄せることもありますよ。日本はおいしいものが多いので、Dにとって天国ですね。
――でも最近、食肉の偽装が取りざたされています。
食肉の偽装は、全国のDを敵に回していると思います。
――料理はしますか。
はい。Dは煮込み料理が多いですね。週末にワインでも飲みながら、シチューやカレーを煮込み、友達に食べてもらう。これがDの週末です。
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