ソニー1Q、ゲームが黒字化 デジカメ、PCは不振
ソニーのゲーム事業が、1Qとしては5年ぶりに黒字化した。「BRAVIA」も好調だが、デジカメ・PCは価格競争が激しく不振。通期の利益見通しは下方修正した。
ソニーが7月29日に発表した2008年4〜6月期(第1四半期:1Q)連結決算(米国会計基準)は、「プレイステーション 3」(PS3)や「プレイステーション・ポータブル」(PSP)が好調だったゲーム分野で営業黒字を計上したほか、液晶テレビ「BRAVIA」も好調だったが、コンパクトデジタルカメラやPCが価格下落の影響を受けてエレクトロニクス分野の営業黒字が縮小したほか、ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ(ソニエリ)の不振が響き、大幅な減益となった。
売上高は前年同期比0.1%増の1兆9790億円、営業利益は39.5%減の734億円、税引き前利益は40.5%減の629億円、純利益は47.4%減の350億円。通期の利益見通しは下方修正する。
PS3、PSP好調
ゲーム分野の売上高は前年同期比16.8%増の2296億円、営業損益は346億円改善し、54億円の黒字となった。ゲーム分野は直近では2007年10〜12月期にも黒字化しているが、1Qで黒字化したのは2003年以来5年ぶり。
同四半期中にPS3は156万台(前年同期は70万台)、PSPは372万台(同213万台)売り上げた。PS3ハードは価格に対し製造コストが上回る逆ざや状態が続いているものの、コスト削減が進んで損益が改善。ソフトは2280万本(前年同期は470万本)販売した。「プレイステーション 2」のハード・ソフトも利益に貢献した。
ゲーム事業は2Qは営業赤字化する見通し。「2Qは年末商戦に向けて在庫を積み増す時期」(大根田伸行CFO)で、PS3の逆ざやが響く。逆ざや解消の時期は「2009年度まで待たざるを得ない」(大根田CFO)としている。
PCやデジカメ、価格競争激化で減益
エレクトロニクス分野は、売上高が0.7%増の1兆4391億円、営業利益は57.2%減の444億円。液晶テレビ「BRAVIA」が好調でテレビ事業の営業赤字は大幅に縮小したが、コンパクトデジカメ「サイバーショット」やPC「VAIO」が価格下落の影響を受けて減益。持ち分法適用会社のソニー・エリクソンモバイルコミュニケーションズの業績悪化も響いた。
同社は今期から、持ち分法適用会社の投資損益を営業利益として計上する新方式に変更。ソニエリの不振がエレクトロニクス分野の営業損益に直接響くようになった。
テレビ事業は、2Q、3Qには利益が出る見通し。PCとデジカメについて大根田CFOは「PCマーケットは普及価格帯に流れており、デジカメもエントリーモデルは価格競争が激しい」と説明した。
映画分野は売上高が31%減の1596億円、営業損失が83億円(前年同期は46億円の利益)、金融分野は売上高が1.0%減の1830億円、営業利益が9.4%減の306億円、音楽事業などを含むその他分野は売上高が9.5%増の842億円、営業利益が24.3%減の67億円だった。
通期の利益見通しは下方修正
通期の見通しは修正する。売上高は当初予想より2%増の9兆2000億円を見込むが、営業利益は10%減の4700億円、税引き前利益は10%減の4600億円、純利益は17%減の2400億円に引き下げる。ソニエリの不振や、エレクトロニクス分野の事業環境悪化の影響を折り込み、利益見通しを下方修正した。
米国サブプライム問題を引き金にした景気減速について、大根田CFOは「直接の影響はないが、注意深く見守っている。年末商戦は、大きく沈むとは見ていない」とコメント。原材料高の影響については「予算に織り込み済みだが、今以上に上がると厳しくなるだろう。エア代など輸送費用への影響もある」と話した。
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