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「光学迷彩」を見破る方法

攻殻機動隊の熱光学迷彩、ハリー・ポッターの透明マントなど、自身を透明化する技術・魔法は魅力的だが、その技術を使って見えなくなったものを、再び見えるようにすることが可能だと発表された。

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 クローキング技術――オーソン・ウェルズの透明人間、スター・トレックの遮へい装置、攻殻機動隊の熱光学迷彩、ハリー・ポッターの透明マントなど、SFやファンタジーで使われ、実際に研究も行われている――が現実になろうとしているが、この技術により不可視化されたものを、逆に可視化する手法が中国の科学者により発表された。光学学会(OSA)の学会誌であるOptics Expressにその研究成果が発表された。

 中国上海交通大学のフヤン・チェン氏と香港科学技術大学などによる研究チームは、「透明マント」を部分的に可視化する「アンチ・クローキング」の手法を提案した。

 最近になって提案されているクローキング技術には、特殊なメタ物質を利用するものがある。この物質は光の拡散、反射、吸収などにより光が目標物に到達するのを防ぐことで、対象物を隠ぺいするとされている。2006年にデューク大学で電磁気クローキング方法のデモが行われ、部分的に物体を隠ぺいできることが実証された。

 ただし、隠すことができる光の波長はまだ狭い範囲であり、人間の見える範囲をすべてカバーするには至っていない。また、この隠ぺい技術は双方向であり、相手から見えないということは、隠される側からもまた見えないということであり、実用性には問題が出てくる。

 チェン氏らの「アンチ・クローキング」は、クローキング側の屈折性物質にインピーダンスを合わせた異方性の反屈折性物質を組み合わせる、という方法。クローキングされた物体は、そこに到達する光を曲げてしまうので内側からも不可視の状態になるが、アンチ・クローキング用物質をクローキング物質に押し付ければ、そこから外を見ることが可能になるという。

 この手法を使うことにより、「透明マント」に隠れたハリー・ポッターや「光学迷彩」を起動した草薙素子は外に敵がいるかどうかを知ることができるというわけだ。

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