米国立科学財団(NSF)は9月17日、農業廃棄物や非食用植物を由来とする砂糖の燃料への転換に成功したことを、2つの研究チームが今月発表予定であることを明らかにした。
1組はVirent Energy Systemsとウィスコンシン大学マディソン校の共同研究チーム、もう1組はDumesic laboratory。両者ともに、砂糖と糖質を、ガソリン、ディーゼル、ジェット燃料などへと精製することに成功したという。
両チームが開発した精製法の鍵となっているのが、「aqueous phase reforming(水相改質)」と呼ばれる技術。植物由来の砂糖と糖質のスラリー(粉末状の固体と液体の混合物)を一連の触媒に通すと、炭素を含んだ有機分子が構成要素に分解され、石油から抽出されるものと同じ化合物を再形成するという。
この技術で重要な点は、この中間化合物の形成に水素が必要とされない点だという。水素はスラリーから得られるためだ。また砂糖のもととなる原材料が農業廃棄物ややせた土地でも育つスイッチグラスなどの植物であることから、原料費を抑えられるとしている。
プロセスの商業化には今後まだ数年が要されるとみられるが、今回の研究成果はさまざまな業界から大きな注目を集めている。
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