「ネットテレビ」は日本が世界を主導――ヤフー井上社長が語る未来像:CEATEC JAPAN 2008
「今年はネットテレビ元年に」「テレビ向けネットサービスは“日本から世界へ”という流れを作りたい」――ヤフーの井上社長が、「Yahoo!Everywhere構想」やネットテレビの未来像を語った。
「これまでのネットサービスは米国主導だった。テレビ向けネットサービスでは“日本から世界へ”という流れを作っていきたい」――ヤフーの井上雅博社長は10月1日、「CEATEC JAPAN 2008」の基調講演で、テレビ向けネットサービスの未来像について語った。
シャープやパナソニック、ソニーなど国内の主要なテレビメーカーが、ネット接続に対応したテレビを販売している。井上社長は「テレビをネットにつなぐという大きな流れが始まった」と話す。
ヤフーはこれまで、どんなデバイスからでもYahoo!JAPANを利用できるようにするという「Yahoo!Everywhere構想」という戦略を掲げてきた。PCや携帯電話向だけでなく、例えば「Wii」の「インターネットチャンネル」にもYahoo!の検索機能を提供している。
今年5月には、シャープの液晶テレビ「AQUOS」でYahoo!のサービスを利用できる「Yahoo!JAPAN for AQUOS」を始めた。「2008年はネットテレビ元年になるのではないか」――テレビ向けネットサービスの拡大に期待を寄せる。
iPhoneをテレビリモコンに
テレビ向けにユーザーインタフェースを最適化した「Yahoo!動画」のデモも披露した。「お笑い」「映画」など9つのジャンルから見たい動画をリモコンで選ぶ仕組みで、キーボードやマウスがないテレビでも簡単に操作できる。動画再生までのステップができるだけ少なくなるよう設計したという。商用化時期は未定だ。
テレビにネットがつながり、さまざまな情報を閲覧できるようになると、欲しい情報をどう探すかが問題になる。Yahoo!が解決策として提案するのは、携帯電話をテレビのコントローラーとして使う方法。例えば、iPhoneで動画を指定すると、その動画がテレビで再生される――というイメージだ。
井上社長は「日本のブロードバンド普及率は57%と高く、テレビの主要メーカーも日本に集まっている。ネットは米国主導で始まったが、テレビ向けのネットサービスについては、日本がこの先をけん引していくための環境が整っている。“日本から世界へ”という流れを作りたい」と意気込む。
テレビ以外の分野でもEverywhere構想を進める。10月には、「Yahoo!ドライブ」のスポットデータを、ホンダのネット対応カーナビで閲覧できるサービスを始める。
今後、カーナビに記録した走行ルートを、ネット上に保存するサービスも提供する予定だ。地図上で走行ルートを再生したり、ルートを再生しながらその時に撮影した写真も表示する――といったことが可能になるという。
他社との連携を進め、Yahoo!のオープン化も進める。10月1日には、ウィルコム端末向けの公式サイトにYahoo!の検索機能の提供を始めたほか、ソネットエンタテインメント(So-net)の女性向けポータル「Cara Carina」と「Yahoo!BEAUTY」でID連携をスタートした。
「ヤフーは、生活や人生を推進する“LIFE ENGINE”を目指している。いろいろなパートナーと協力し、大きな市場を作っていきたい」
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