グーグル辻野新社長が会見 「透明な存在から“日本のGoogle”へ」
グーグルの辻野社長が就任後初めて記者会見し、「これまでは米Googleを意識した“透明な存在”だったが、“日本のGoogle”として顔を見せていく」と意気込みを語った。
「いよいよGoogleのグローバリゼーションはフェーズ1からフェーズ2へ移行する」――1月1日付けで米Googleの日本法人・グーグル社長に就任した辻野晃一郎氏が1月26日、就任後初めて会見し、今後の抱負を語った。
昨年創業10年を迎えた米Googleは、世界の売り上げのうち半分を米国以外が占めているという。辻野社長は、Googleのこれまでのグローバル化を「フェーズ1」とし、「一貫したイメージのGoogleが速い勢いで世界に広まった。現地法人は出しゃばるよりも“透明な存在”として、あくまで米国のGoogleを意識してきた」と説明する。
フェーズ2では「地域の違いを意識したオペレーションに切り替え、それぞれの地域の強みをジグソーパズルのように組み合わせて、次のグローバリゼーションを確立する」という。国内企業としてのグーグルの存在感はそう大きくないのが現状だが、今後は「日本のGoogleとして顔を見せながら」、主体的にユーザーとの関係を築いていく考えだ。
日本法人は設立から7年。08年は検索事業が好調で「いい年だった」と振り返る。
YouTubeは、日本からのトラフィックが米国に次いで2番目に多く、携帯電話からのトラフィックが増えているという。今後は収益化に向けたアプローチを本格化する方針だ。「これから成長が見込める領域」として携帯電話向けサービスを挙げ、Androidへの取り組みも強化すると語った。
プライバシー問題が指摘されているGoogleマップの「ストリートビュー」機能については「お騒がせしている。意見は真摯(しんし)に受け止め対応していく」とコメントした。
広告事業では「AdWords」「Adsense」に加え、ディスプレイ広告にも注力。「ネットメディアがオールドメディアを食うなどと語られるが、テレビや新聞などとシナジーを高めながら、広告マーケットを拡大させたい」と述べた。
Googleの売り上げの大半は広告が占めているが、今後は「Google Appsなど企業向けもフォーカスしていくべき」という考えも示した。
辻野社長は執行役員製品企画本部長から昇格。ソニー出身で、PC「バイオ」事業の立ち上げや、HDDレコーダー「コクーン」ビジネスの責任者を務めた経験を持つ。村上憲郎前社長は名誉会長に就任した。
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