DeNAとヤフー、ソーシャルゲームで共同戦線 「Yahoo!モバゲー」の狙い
DeNAとヤフーがPC向けソーシャルゲームで共同戦線を張る。PCサイト「Yahoo!モバゲー」でそれぞれの弱みを補完し合い、mixiアプリを超えるゲーム基盤構築を目指す。
ディー・エヌ・エー(DeNA)とヤフーは4月27日、PC向けソーシャルゲームで業務提携し、PCサイト「Yahoo!モバゲー」を今年晩夏にスタートすると発表した。DeNAのモバイル向けソーシャルゲームプラットフォームと、Yahoo!JAPANのPC上の集客力を組み合わせ、「mixiアプリ」を超えるソーシャルゲーム基盤を構築する狙いだ。
Yahoo!モバゲーは、PC向けゲームポータル「Yahoo!ゲーム」のメインコンテンツとしてオープン。利用にはモバゲータウンのIDとYahoo!ID双方が必要だ。モバゲーのゲーム機能のPC版というイメージで、まずはモバゲーで人気のゲームを移植し、モバゲーのソーシャルグラフ(友人関係)をそのまま引き継いで遊べるようにする。
「モバゲーAPI」を活用したオープンプラットフォームを採用。外部のソーシャルゲームプロバイダーからも広くゲームを募る。ゲームプロバイダーは、モバゲーで提供中のゲームをPC対応させ、Yahoo!モバゲーで遊べるようにしたり、Yahoo!モバゲー向けにPC専用ゲームを提供できる。PC、モバイルをまたいだゲームのプロモーションも可能だ。
アイテム課金と広告が収益源。決済に「Yahoo!ウォレット」を活用するほか、ヤフーの広告エンジンも提供する。収入の一部をゲームプロバイダーに配分し、残りを両社で分配。Yahoo!の各サービスでプロモーションを行い、ユーザーを誘導する。
両社が共同戦線を張った背景には、世界で急成長するPC向けソーシャルゲーム市場への期待がある。「日本のPC向けソーシャルゲーム市場はまだ小さいが、海外と同様、伸びていくだろう」とヤフーの井上雅博社長は話し、「ヤフーとモバゲーを組み合わせたパワーは巨大。他社より大きいものを目指したい」とDeNAの南場智子社長は意気込む。
モバゲーはPCユーザーを、ヤフーはソーシャルプラットフォームを得る
モバゲーはmixiに次いでゲームAPIを開放し、独自のソーシャルゲームも提供。これが「成長のけん引車」(南場社長)となり、ページビューや売り上げが急拡大している(DeNA、ソーシャルゲーム好調で上方修正)。
ただPC・モバイル両対応の「mixiアプリ」と異なり、モバゲーのゲームはPCではプレイできない。携帯ゲームは10〜20代の若年層に人気で、ARPU(1人当たりの売上高)の高い30代以上のユーザーが少ない(モバゲーユーザーの28%)という課題もあった。
DeNAは“モバゲーPC版”をYahoo!上に構築し、Yahoo!各サービスから集客することで、PCユーザーを一気に取り込み、「モバゲーAPI」ベースのゲームプラットフォームを急拡大させる狙いだ。30代以上が67%というYahoo!ゲームのユーザーが、ARPU向上に貢献すると期待する。
ヤフーの狙いはソーシャル機能と課金コンテンツの強化だ。「Yahoo!IDは多くの人が持っているが(同社によると、アクティブID数2400万以上)、ユーザー同士のつながりが不十分だった」と井上社長は弱みを認め、モバゲーのソーシャルグラフや人気のゲームを取り入れることで「友人とつながることによる付加価値を強めたい」と話す。
Yahoo!モバゲーのソーシャルグラフを、行動ターゲティング広告や検索などほかのサービスの精度向上に利用する可能性については、「いろいろ考えられると思う」(井上社長)としながらも、「まずはゲームの部分をしっかり作っていく」考えだ。
先行するmixiアプリとは住み分けられるとみている。「mixiアプリはリアルの人間関係をベースにしたゲームだが、Yahoo!モバゲーはゲームに特化した仕組みをまず築いていく」(南場社長)
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