「小さな差分を積み上げる」Baidu.jpの戦略 「てぃえば」を成長のカギに
強力なライバルがいる検索市場でBaidu.jpはどう戦うのか。コミュニティーサービス「てぃえば」などを通じ、「ほかのサービスとの小さな差分を積み上げていく」という。
「Yahoo!JAPAN」がGoogleの検索エンジンを採用し、昨年日本に再参入したNAVERも利用者を伸ばすなど、国内検索市場でさまざまな動きが出ている。中国発の「Baidu.jp」はこの状況をチャンスととらえ、7月にスタートしたコミュニティー「てぃえば」を軸に、さらなる成長を目指す。
Baidu.jpは2008年1月にスタートした。特徴は「検索スピード」。特に「携帯電話からの利用やネット環境が悪い場所で、スピードを実感できると思う」と、バイドゥの添田武人マーケティング部長は話す。
モバイル版にも力を入れている。犬の絵文字を入力するとテキストに「犬」を含むサイトを検索でき、「犬」と入力すると犬の絵文字入りのサイトを表示するといった具合に、絵文字とテキストを相互に検索できるのも特徴の1つだ。
2年あまりで検索サービスの「足場を作った」次は、「コミュニケーションをもう1つの軸に」していく。今年7月、コミュニティーサイト「てぃえば」をスタート。中国では05年から提供しており、1日に億単位のPVを稼ぐ人気となっているだけに、日本でも期待がかかる。
テーマごとに用意された「部屋」を開設し、トピックを立て、ユーザー同士でテキストや画像、動画をやり取りするサイト。質問項目と期間を設定するだけでアンケートフォームを設置することも可能だ。投稿や閲覧は誰でも可能だが、部屋の開設には「Baiduパスポート」のIDが必要。
mixiの「コミュニティ」や「NAVERまとめ」など似たサービスが人気を集めているが、「いろんな要素を組み合わせて、コミュニティーサービスをもう一度イノベーションしたい」と意気込む。てぃえばの利用者数などは非公開だが、「8月の伸び率は2桁」という。ただ、現状は広告掲載もしておらず、ビジネスモデルは模索中。今後はBaidu.jpのWeb検索結果画面に、てぃえばの検索結果を出すことも検討している。
ヤフーやGoogleが圧倒的な強さで君臨する国内の検索サービス。「ユーザーを獲得するのに時間がかかるもので、シェアの急変動はあまり起こらない」が、「マーケットは成熟すればするほどユーザーのニーズが多様化されてくる」ため、「2番手、3番手の価値が高まってくる」とみている。ほかのサービスとの「小さな差分」を積み上げ、地道に差別化していく構えだ。
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