東電、夏の供給力を5200万キロワットに積み増し
東京電力は今夏の電力供給力見通しを5070万〜5200万キロワットに上方修正。ガスタービンの新設などで前回予測からは500万キロワット程度積み増した。
東京電力は4月15日、今夏の電力供給力見通しを5070万〜5200万キロワットに上方修正すると発表した。ガスタービンの新設などにより、3月末の予測からは500万キロワット程度改善できる見通しになった。だが想定ピーク需要の5500万キロワットには依然として足りず、東電は計画停電の回避に向けてさらに供給力の積み増しに全力を挙げるとしている。
東電によると、7月末の供給力は5200万キロワット、8月末は5070万キロワット。7月末の供給力の内訳は、▼一般水力:300万キロワット▼火力:3800万キロワット▼原子力:500万キロワット(柏崎刈羽)▼揚水:400万キロワット。3月末の見通しでは揚水発電を含めていなかったが、揚水発電に必要な夜間に水をくみ上げる電力にめどがついたため、見通しに加えた。
今月中に姉崎火力発電所(千葉県市原市)に約0.6万キロワットのガスタービンが運転開始。7月には袖ヶ浦火力発電所(千葉県袖ヶ浦市)で約11万キロワット、8月には千葉火力発電所(千葉市)で33.4万キロワット×2台を稼働させる計画だ。
政府は計画停電を「原則として実施しない」方針を決めており、これを受けて東電も計画停電について「原則不実施」に方針を転換。大口需要家向けには需給調整契約への加入を要請していくほか、家庭でも節電を呼びかけている。
現状では想定ピーク需要に供給力が届かないが、東電は「計画停電は本当に回避したい」としてガスタービンの追加や被災した火力発電所の復旧などでできるだけ積み上げたいとしている。ただ、5500万キロワットまで積み増せる見通しは現時点では立っていないという。
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