任天堂・岩田社長「ソーシャルメディアと無縁でいることはできない」 「柔軟なオンライン機能」示唆
Wii Uを発表した任天堂の岩田社長は「ソーシャルメディアと無縁でいるということはもうできない時代だと思う」とソーシャルグラフの活用を示唆。携帯ゲームなどについても語っている。
次世代家庭用ゲーム機「Wii U」を発表した任天堂の岩田聡社長は、「Facebookなどソーシャルメディアの普及率を考えた時に、それと無縁でいるということはもうできない時代だと思う」と語り、Wii Uなど任天堂プラットフォームに何らかの機能を組み込んでいく可能性を示唆している。
任天堂がこのほど公開した、E3でのアナリストとの質疑応答によると、ネット環境が急速に変化する中、固定的な仕組みを任天堂が作って「この仕組みに合わせてください」というやり方は時代に合ってないだろうと感じているという。「過去の任天堂コンソールでは、オンラインの仕組みは固定的なものだったと思う」と認めつつ、今後は「任天堂はいかにフレキシブルになるかが大事だと思っている」という。ゲーム会社がやりたいことはそれぞれ異なるため、これらを吸収できる柔軟性を備えたシステムにしたいという考えだ。
ソーシャルメディアと無縁でいることはできないとして、「ソーシャルグラフを、ゲームプラットフォームがどのように活用するのかを考える時代」と指摘。具体的な取り組みは言及しなかったが、具体的に明らかにできるようになる時には「フレキシブルな形でネットワークの環境の変化に対応していく方針であることが分かっていただける」とした。
スマートフォンなどモバイルデバイス向けゲームについては「元々、モバイルゲームの台頭が、我々のビデオゲーム専用機のビジネスに直接競合し、直接脅威になるとは思っていない」と述べ、今後も「モバイルゲームではできないユニークな体験」を提供し続けていくことに自信を見せた。
今年のGame Developpers Conference(GDC)で岩田社長は「ビデオゲームの作り手は、ビデオゲームの価値をどう守るかということを考えることがすごく大事になると思う」などと語ったことがソーシャル/モバイルプラットフォームの批判と受け止められたが、これは誤解であり、「ビデオゲーム開発者は、自分たちの作るゲームソフトの価値がどんどん下がっていくことに対して、非常に強く敏感であるべきではないか」「そうしないと、たぶん産業は維持できなくなる」という意味だという。
またWii Uはゲームソフトを専用の25Gバイト光学ディスクで供給することを明らかにしているが、本体ドライブではDVDやBlu-ray Discの再生はできないという。岩田社長は、BD再生のためにはライセンス料の支払いなどが必要だが、「そのことによって生じるコストアップに見合うだけのメリットがないと考えている」という。
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