2次創作がコンテンツの寿命を延ばす──角川会長と川上会長が話す、ネット時代の電子書籍(3/3 ページ)
角川とニコ動が手を組んだ電子書籍サービス「ニコニコ静画(電子書籍)」の公開に合わせ、角川グループホールディングスの角川歴彦会長と、ドワンゴの川上会長が対談。電子書籍や著作権、Amazonの動向などを語り合った。
Amazonとも「話せば解決の糸口が見えてくる」
国内の動向に注目が集まるAmazonは、国内出版社に対し強硬な条件を突きつけているという報道があった(BLOGOSの記事)。角川会長はAmazonと「1年間交渉している」ことを明かし、その上で「Amazonも商売だからさまざまな条件を出しているのだろうが、日本の出版社の本を売っているのだから信頼できる土壌はできている」「話せば解決の糸口が見えてくる」と、基本的にはAmazonと出版社がそれぞれの交渉で決めるべき問題だという認識を示した。
川上会長は「利益には短期的なものと長期的なものがある」とした上で、「プラットフォーマーはどうしても強くなってしまう。『iモード』モデルを世界に普及させた時、国内のNTTドコモの取り分は10%だったが、海外の事業者は50%取った。それが正しい配分だからだ。だがその結果、携帯コンテンツ文化が花開いたのは日本だけだった」とし、短期的な利益を重視してプラットフォーマーが取り分を増やした場合、結果的に失敗する恐れがあると話した。
トークセッションはニコ生でライブ配信され、視聴者からは「漫画の場合、電子書籍化によりコメント数などで人気が分かるようになると、人気のない作家には出版社が力を入れず、新人が育ちにくくなるのでは」という質問が寄せられた。
角川会長は「出版社がそういう行動をすればAmazonが著者と直接契約するようになるだろう」と話し、川上会長も「コンテンツ業界の人と話していて痛感するのは、作品を作るにはクリエイターと同等かそれ以上に編集者やプロデューサーの役割が大きい。セルフプロデュースできる人は直接契約すればいいと思うが、そういう人は少ないだろう。そういう人だけでは大きくならない」と、出版社の育成機能はこれまで以上に重要になるとの認識だ。
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