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シャープの最終赤字が3800億円に拡大 「モバイル端末向け液晶出荷に遅れ」
シャープが再び業績予想を下方修正し、最終赤字は3800億円に悪化する見通し。モバイル端末向け液晶出荷に遅れがあったことなどが要因。
シャープは2012年3月期の連結業績予想を下方修正し、最終損益は3800億円の赤字になる見通しだと発表した。2月に過去最悪の赤字となる下方修正を発表していたが、さらに900億円の悪化となる。「モバイル端末向け液晶の出荷遅延」のほか、大型液晶事業の構造改革に伴う体質改善費用を計上するため。
売上高は前回予想比で1000億円減の2兆4500億円に下方修正。営業損益は400億円の赤字で変わらないが、経常損益は同400億円悪化して700億円の赤字となる見通し。
米Appleが3月に発売した新型iPadが搭載する高精細ディスプレイは韓国Samsung Electronicsと同LG Display、シャープの3社が供給するとみられていたが、シャープは供給が発売に間に合わなかったと報じられていた。
シャープは大型液晶製造拠点・堺工場の稼働率改善などを目的に台湾のEMS(電子機器受託製造)・鴻海(ホンハイ)精密工業グループ(Foxconn)と業務・資本提携。構造改革に伴う体質改善費用を計上することも響く。
同工場を運営するシャープディスプレイプロダクツ(SDP)には郭董事長個人が660億円を出資する予定だが、新たに大日本印刷と凸版印刷が同工場向けに液晶カラーフィルターを生産している子会社をそれぞれSDPに統合することで合意した。統合の対価としてSDPが新株式を発行する結果、SDPに対するシャープの持ち分は40%未満に低下し、連結子会社から外れる見通しになった。
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