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赤松健さん流「TPP対策」・2次創作向け新ライセンス提案、次回作は「エロ同人・アニメ化フリー」に?

漫画家の赤松健さんが、漫画の2次創作に関する新ライセンスを提案。CCJPのサポートが得られれば、講談社で執筆予定の次回作に採用するという。

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 漫画家の赤松健さんは12月12日、作家が2次創作同人誌を公式に認めるための新ライセンスを、クリエイティブ・コモンズ・ジャパン(CCJP)に提案した。日本がTPPに参加し、米国が求めている知財条項が導入された場合にも、漫画用の2次創作文化を絶やさないための提案。CCJPがサポートを表明すれば、講談社で執筆予定の次回作に新ライセンスを採用するという。

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赤松さん。キックオフイベントを中継した「ニコニコ生放送」より

 TPP交渉の公開を求める「TPPの知的財産権と協議の透明化を考えるフォーラム」のキックオフイベントで披露した。既存のCCライセンスはデッドコピーが前提で、漫画の2次創作には使いづらいため、日本で普及していないと指摘。デッドコピーや原作からの切り貼りを禁止した新ライセンスを提案する。

 新ライセンスは許諾内容・範囲に応じて3段階を提案している。

  • デッドコピーや原作からの切り貼りでなければ、2次創作同人誌を勝手に作ってもうけてもOK。ただしエロ(性行為)描写はダメ(レベル3)
  • エロでも何でも、2次創作同人誌はすべてOK、ただし紙やデータを使った静止画のみ(レベル2)
  • アニメ化や実写ドラマ化、ゲーム化など、勝手にマルチメディア展開をしてもOK。ただし、作者が次回作を制止できる(レベル1)

画像画像 赤松さんが公表した提案文書(PDF)より

 日本では、漫画家がファンによる2次創作を黙認することで同人文化を支えているが、TPP交渉で米国が求めている著作権侵害の非親告罪化が実現した場合、2次創作のクリエイターが告発を恐れて萎縮する恐れがある。新ライセンスで漫画家が明示的に2次創作を認めることで、「TPPが来ても大丈夫」(赤松さん)な状態にしたいという。

 赤松さんは、「CC本部が認めないだろうから、CCライセンスへの正式採用は無理だろう」としつつも、CCJPが認知・サポートしてくれるなら、講談社で執筆予定の次の作品で、このライセンスを採用する計画で、講談社の許可も取ったという。採用するのは、実写化・アニメ化・エロ同人フリーの(3)のライセンスだ。「アニメ化しても、権利者にはたいしたことない。それより有名になってコミックスを再版するのが主。勝手にアニメ化されても問題ないのではと」(赤松さん)。

 日本の漫画界に新ライセンスが広まれば、CCそのものの認知や利用も爆発的に広まるだろうとも。「漫画の力を借りないと、CCは広まらない」(赤松さん)

 弁護士でCCJP常務理事の野口祐子さんは、楽曲のリミックスを認める「サンプリングプラス」という音楽用のCCライセンスが、利用者が少ないなどの理由で“引退”したことを例に、グローバルでの新ライセンス採用の難しさを語りつつも、「TPPが入れば、ライセンス活動の重要性が高まるのは共感する。面白い提案として持ち帰りたいと思う」と検討する姿勢を示していた。

同人イベントで「公認」も

 赤松さんが公表した同ライセンスの提案文書(PDF)には、同人イベントで頒布される2次創作同人誌を、作家や出版社が「公認」するアイデアも。イベント当日のみ有料で2次創作を許諾する、ワンフェスの「当日版権」のような仕組みだ。許諾の申請は義務ではなく、申請しない自由もあるため、今まで通りグレーな活動も可能になるとしている。

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