中国政府、自国の“ネット右翼”に困惑し始める 嫌がる人も多い“憤青”(3/3 ページ)
「大気汚染の原因は日本」という中国の一部が取り上げた根も葉もない話に現地では「そんなわけはない」という常識的な反応が多かったことは知られてない。中国政府は“ネット右翼”や“ポピュリスト”に頭を痛め始めている──山谷氏による現地からのリポート。
そんな中国のポピュリストの9割が「極端な愛国者」であり、半数が「我々中華民族の文明はすごい」「中国経済に自信あり」「政府に不満」と答えている。またポピュリストはロマンチストの傾向があり、中国との国際問題に敏感で過激な行動に出やすいと分析している。なるほど尖閣問題のニュースのコメント数は多いのに、同時期に発生した大気汚染の話になると途端に(特に愛国者系の)コメントが減るのも納得できる。
こうした調査が政府系サイトである人民網から出たということは、これからポピュリストに対して具体的な対策を取り始めるのだろう。たとえば早くもポータルサイトでは、ポピュリストを糾弾する記事が登場していた。また微博の政府アカウントからポピュリストを教育していく内容のつぶやきを投稿していったり、街の掲示板に「こういう人にはならないように!」というポスターが貼られることもあるかもしれない。
低所得者や中高年はこれからインターネットを利用し始める、ないしはエンタメ以外の微博などのコミュニケーションサービスを利用し始めるため、反日な人は増えていっても不思議ではない。しかし一方で、今後さりげない「反ポピュリストキャンペーン」が行われることで、「こうはなるまい」と意識して冷静であり続けようとする中国人もかなりいることだろう。自らの判断で「日本製品でもいいものならば買う」「今後も個人として日本と関係を持ち続ける」という人は中高所得者を中心として一定数変わらずいることだろう。
中国でもポピュリスト予備軍にも入らない人が半数はいるようだ。せっかくインターネットで世界がつながっているのだから、日中のポピュリスト同士によるネット上での罵声の投げ合いが減り、日中どの国問わず建設的な情報交換が当たり前のように交わされて欲しいものだ。
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