ユーザーの反応に「完全に狼狽した」 はてなブックマーク、リニューアルの意図と背景(2/2 ページ)
はてブのリニューアルに批判が殺到し、「完全に狼狽した」と担当ディレクター。はてブは開発者主体のサービスから、編集視点を加えたメディアへと変化してきている。
「いろいろいわれても動じない」とリリースしたが……
当初は大幅なデザインリニューアルには慎重で、旧来のデザインを踏襲しながら微調整するだけの案もあった。
ただ、従来のトップページのように、注目エントリーや新着エントリーをリスト的に見るだけなら、RSSからチェック可能。はてブのトップページは、「こう見てほしいとはてなから提案し、体験してもらう場」(伊藤さん)として定義し直し、あえて新しい体験をユーザーに提供しようと考え、デザインを大きく刷新した。
「いろいろ言われても動じないと思ってリリースした」(伊藤さん)ものの、ユーザーの反応は辛らつだった。「見づらくなった」「前の方が良かった」――その反応は範囲内で、「意外ではなかった」が、ユーザーの具体的な生の声はやはり重かったようだ。
中でも多かったのは、「一覧性が低下した」という声。この印象は「自分たちの実感、印象と合っていた」(伊藤さん)ため、トップページで記事ごとに表示していたブックマークコメントを省いたり、高さを圧縮したタイルデザインを採用するなどし、コンテンツを見渡しやすくする改善を加えていった。
「トップページの更新頻度が高く、話題の記事を見落としてしまう」という声も受けており、解決策を検討中。ユーザーの意見を受け止めながら、改善を進めている。
リニューアル後、ユーザーの動きは変わってきたという。全ジャンルの人気記事をブックマーク数上位から見せる「総合」が人気に。新着エントリーを何ページもめくり、さかのぼって見る人も増えており、「雑誌のようにぱらぱらページをめくりながら楽しんでほしい」という意図は伝わったとみている。
「開発者主体から別の領域」に
伊藤さんは、はてブの価値の1つに、「大手のニュースサイトでは得られない声が上がってくること」を挙げる。「例えば、アルジェリアのテロ事件で、新聞やテレビでは得られないような角度の意見や見方が上がってくるのはすばらしいと思う」。1月には「都会と田舎」をめぐる議論が盛り上がるなど、「ある人が記事を上げると、呼応するように同じテーマの記事が上がってきて1つの流れを形成するのははてブ醍醐味」でもある。
はてなブックマークは2005年のスタート以来、8年の歴史を歩んできた。「これまで、社内のいろいろな開発者が参加してきた大きなプロジェクトで、いろんなデバイスに展開している。どういうサイトなのか、もう一度つかみ直さないといけないと思う」(伊藤さん)
近藤淳也社長は、「開発者主体でシステムを作っておけば、たくさんの人に便利に使っていただけるというものから変わってきた」と、リニューアルを総括する。
「以前は、何が出るかは集合知の結果で、自分たちの責任を『良いシステムを作る』ことまでに規定していたところがあったが、編集専門のディレクターを立て、別の領域に踏み出した。編集と機械を融合させるのは難しい取り組みだが、それを進めれば、はてブが本来持っている力を生かし、もっとたくさんの人に喜んでもらえるメディアにできるのではないか」(近藤社長)
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