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「ギャップ萌え」でフォロワー増加中 警視庁初Twitterの中の人「本職」氏に聞く、日々とその思い(1/4 ページ)

警視庁初のTwitterアカウントが、ゆるいツイートでフォロワーを増やしている。「警察は四角四面で冷たいと思われがちだが、中の人はそうではないと知ってもらいたい」と、“本職”氏は願う。

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 「鼻血なう…」

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 「みかんの汁がズボンに落ちました…」

 「りんごのコンフォートをいただきつつミントティで一息ついております…」「コンフォートではありません。コンポートの間違いです。りんごを快適にしてどうしようというのでしょうか……」

 警視庁犯罪抑止対策本部のTwitter「@MPD_yokushi」にときどき現れるこんなツイートが、警視庁のイメージを変えている。

 昨年11月にスタートした、警視庁初の公式Twitterアカウント。普段は、都内の振り込め詐欺被害情報などをつぶやく“おカタい”アカウントだが、1日に数回、「本職」と名乗る“中の人”が、最近のうっかり体験や、3時のおやつのお茶請けなどほっこりした日常をつぶやく。「町の駐在さんみたい」。そう評してくれたフォロワーもいたという。

 この半年間、手探りで運用を続けてきた。3月には一時、個人的なツイートを中止したことも。公のアカウントで個人的なツイートを行うことについて庁内外から批判を受けたためだった。だが、フォロワーからの支援の声を糧に、庁の理解を得てスピード復活をとげた。

 「警察は四角四面で冷たいと思われがちだが、中の人はそうではないと知ってもらえれば」。警察官である自称“ツイ廃”の本職氏は言う。

警視庁初の公式アカウント 「ギリギリのところで何ができるか」

 「振り込め詐欺被害の抑止には、高齢者世代だけでなく、その家族に働きかけなくては」――Twitterを始めたのは、こんな発想が原点だ。

 警視庁犯罪抑止対策本部のアカウントは昨年11月、振り込め詐欺撲滅月間に合わせて開設。都内で発生した振り込め詐欺電話に関する情報をTwitterにリアルタイムに掲載している。Twitter世代の30〜40代に伝え、彼らの両親や祖母・祖父に伝えてもらうことを期待した。

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都内の振り込め詐欺情報がbotで更新されている

 「オレオレ詐欺入電中(浅草署) ■昨夜、台東区内に、息子をかたる者からウソの電話が入っています」――botを使い、都内の振り込め詐欺情報を伝え始めたが、内容は「気が滅入るようなものばかり」で、オープンから2週間経ってもフォロワー数は200人ほど。告知効果も薄く、上司からも「ツイートがつまらない」と言われた。何より、「誰にも見てもらえず、やっていて面白くなかった」と本職氏は振り返る。

 「本来のコミュニケーションツールとしての使い方をしないと」。そう考えたものの、リプライなどを通じて特定の人と交流すると、公共機関としての公平性が保てなくなる。「ギリギリのところで何ができるか」……思案の末、「Twitterを1つのイベントとしてとらえ、担当者の日常の経験を共有してコミュニケーションを図ろう」と考えた。

 公共機関のアカウントで個人的なツイートを行えば、どう言われるか。「リスクはかなりあったと思う」と振り返る。だが「リスクを取る判断ができる上司に恵まれた」ことが幸いし、実現できたという。公的な情報と個人的な内容がひと目で区別できるよう、個人のツイートは「( )」でくくって投稿。1人称には、捜査書類で使う「本職」を選び、印象付けようと考えた。

「本職」登場でフォロワー急増 「ギャップ萌えでしょうね」

 「当アカウントは半自動により情報をお届けしておりますが『つぶやきがつまらない』と上司からお叱りを受けました。警察の公式で面白いつぶやきというのもいかがなものかと思いますが、今後は本職のつぶやきも交えてお届けいたします」

 11月11日。こんなツイートを皮切りに本職氏がつぶやき始めるや否や、フォロワー数が急増した。13日につぶやいた「みかんの汁がズボンに落ちました…」という発言は新聞に取り上げられるなど大きな話題を集め、11月半ばにはフォロワー数が1万を超えた。

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