「PS4は軽いビジネスモデル」──ソニーのゲーム事業、ローンチ初年度も黒字確保へ
ソニーのゲーム事業はPS4ローンチ初年度も黒字を確保する見通し。赤字に苦しんだPS3と異なり、「軽いビジネスモデル」になっているという。
ソニーは5月9日、2013年度(2014年3月期)のゲーム事業は黒字だった前年度並みの営業利益を確保する見通しを明らかにした。年末商戦向けに据え置き型ゲーム機の新製品「プレイステーション 4」(PS4)を発売する計画だが、多額の赤字に苦しんだプレイステーション 3(PS3)と異なり、汎用アーキテクチャを採用するなどして「軽いビジネスモデル」になっているという。
12年度(13年3月期)のゲーム事業売上高は前年度比12%減の7071億円となり、営業利益は黒字を確保したものの、276億円減の17億円にとどまった。PS3ハードとPSPハード/ソフトの販売減が減収につながり、2月に実施したPlayStation Vitaの値下げも利益に響いた。
据え置き型ハード(PS3+PS2)の販売実績は1650万台、携帯型ハード(PSP+Vita)は700万台だった。
今年度はPS4の発売を控えている。PS4の販売台数目標は明らかにしていないが、PS4効果で大幅な増収を見込む。ただPS4投入に伴う研究費や広告宣伝費が増加するため、利益はほぼ12年度並みになる見通しだ。
06年11月に発売されたPS3は「Cell」プロセッサなどチップレベルから作り込んだ、当時としては最先端のハードとし、「4けた億単位の投資を数年間にわたってやった」(加藤優CFO)。その結果投資の償却負担や製造コストが重くのしかかり、10年度に5年ぶりに黒字転換するまでゲーム事業は多額の赤字に苦しんできた。
PS4ではCPUは米AMD製のx86-64プロセッサ、GPUはRadeonベースとなるなど、PCに近いアーキテクチャを採用している。「チップセットなどは、ソニーの技術や知恵を盛り込んでいるが既存のものを使い、製造はファウンドリー(半導体製造会社)などが技術を持っているので自らプロセスなどを開発する必要もなく、投資も少なく済む。PS4は軽いビジネスモデルだ」(加藤CFO)という。一方、ソフト開発やマーケティングにはそれなりのコストをかける考えだ。
今年度のPS3出荷見通しは1000万台。携帯型は500万台と、前年度から200万台減にとどまる見通しだ。
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