6メートルのダイオウイカに会える――特別展「深海」、国立科学博物館で開催
ダイオウイカの巨大標本をはじめ、深海生物の標本や最新の研究成果を展示する特別展「深海」が7月6日から東京・上野の国立科学博物館で開催される。
深海生物の標本や最新の研究成果を展示する特別展「深海 ―挑戦の歩みと驚異の生きものたち―」が7月6日〜10月6日に国立科学博物館(東京・上野)で開催される。全長約6メートルのダイオウイカの標本や有人潜水調査船「しんかい6500」の実物大模型などが見どころだ。
深海は宇宙と共に「人類に残されたフロンティア」とされ、この50年ほどで急速に研究が進んでいるものの未だ多くの謎を残す。同展では、最新の研究結果を踏まえ、深海生物やその生態、深海研究の歴史や現在の調査状況について紹介する。
見どころの1つが、水深6500メートルまで潜れる有人潜水調査船「しんかい6500」の実物大模型。全長9.7メートルの模型は、3人まで搭乗可能なコックピット内部や、生物や地表を採取するアームなども再現している。これだけの深さまで潜れるのは世界でも数隻しかなく、日本近郊のみならず世界各地で活躍。「最近はカリブ海の方」を調査しており、6月には潜航の様子をニコニコ生放送でライブ配信。昨年までに通算1300回潜航しているという。
世界で初めて撮影に成功した様子がNHKスペシャルで放送され、8月下旬には映画化も決定したダイオウイカの6メートル近い標本を展示。深さ650〜900メートルの深海に生息する世界最大の無脊椎動物で、大きなものだと全長15メートル近くになるという。
ダイオウイカを追い続け、ついに深海でダイオウイカに遭遇した様子がNHKスペシャルで放映されたのは同館の窪寺恒己博士だ。「この大きさなので展示に至るのはかなり大変だったが、やはりみなさんの要望が一番多かった。標本の見どころは全部。隅から隅まで眺めてほしい。強いて言えば、ソフトボール大の大きな目玉と普段見るイカよりも吸盤の多い腕に注目」と話した。
約380点の深海動物も分類群ごとに紹介。珊瑚やクラゲ、甲殻類や魚類、寄生虫などの標本が並ぶ。深さによって明るさや食物環境も異なり、数百度の熱水や毒性のある化学物質が吹き出す場所もあるなど、過酷な環境で生きる深海生物の生態も最新の研究成果を基に解説する。
「深海研究の魅力は“世界で一番”に触れられる喜び」と語る、監修に携わった海洋研究開発機構(JAMSTEC)の上席研究員、藤倉克則博士は「展覧会の構成を考える際、ただキャッチーな生物や研究だけでなく、科学的に意味のあるものを紹介するよう心がけた。わかりやすく“深海生物っぽい”見た目でなくても、特殊環境で生きる工夫がそれぞれにある。何度訪れても発見があるはず、ぜひリピーターになってください」と話している。
関連記事
- 深海生物に焦点 特別展「深海」、国立科学博物館で今夏
深海生物に焦点をあて、最新の研究成果をもとに紹介する特別展「深海」が夏に国立科学博物館で開催される。 - 深海5000メートルからニコ生 「しんかい6500」調査潜航を世界初の生中継
有人潜水調査船「しんかい6500」が水深5000メートルの深海熱水噴出域を調査する模様をニコニコ生放送で生中継される。 - 「ダイオウイカ」映画化 NHK、夏に上映へ
「この夏、ダイオウイカに遭遇した奇跡の瞬間をスクリーンで体験しよう」――「NHKスペシャル 世界初撮影!深海の超巨大イカ」の劇場版が、8月下旬から全国の映画館で上映へ。 - NHK、ダイオウイカに味しめた? 放送第2弾・特別展・劇場版・グッズ販売……
世界で初めて生きたダイオウイカをとらえたNHKスペシャルが好評だったことを受け、NHKはダイオウイカをテーマにしたコンテンツを今夏、続々と展開。同局の“イカブーム”は最高潮だ。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.