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“コンテンツは無料”に慣れきっている中国人 人気の日本発アニメ・コミック(2/2 ページ)

「海賊版天国」と揶揄される中国だが、改善している面もある。海賊版対策として正規コンテンツを無料配信するビジネスモデルが広がった結果、中国人は無料に慣れきっているという。現地からのリポート。

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「ソフト・コンテンツは無料」に慣れきっている中国人

 一般社団法人コンテンツ海外流通促進機構(CODA)は中国版権局と対話を行っているが、同局の剣網行動時(ネットの侵害対策キャンペーン)には情報提供を行っている。CODAの坂田俊介氏は「正直、組織末端(地方)についてはよく分からないですが、中央政府は結構きちんと話ができますし、やる気はあるようです。半分冗談ですが、国家版権局の担当者からは『我々は、中国の権利者団体よりCODAと良く顔を合わせている』と言われたこともあります」と話す。中国政府は本気で日本のコンテンツの海賊版もなんとかしようとはしているようだ。

 中国人はソフトもコンテンツも無料に慣れきり、無料ないしはプリペイドチャージした電話代の範囲内程度の低価格でなければ利用しようとはしなくなった。その結果、ソフトベンダー側がこれに合わせて、セキュリティソフトまでも無料とするモデルを作り上げた。動画配信ビジネスでは広告収入がメイン。動画サイトがコンテンツ配信権を買って無料で配信し、無許可で配信したら配信権を所有するベンダーが全力で配信者を叩く。人気アニメを始めとした日本コンテンツも同様で、中国の配信権を買ったサイトが、正規版を配信し、海賊版配信サイトを全力で叩く。

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ハードウェアはプライスレス。コンテンツ代で金をとる動画サイトのSTB

 中国の動画サイトに配信権を販売する際は、契約に「中国本土のみの配信」と明記し、サイト側もIPアドレスによるアクセス制限をかけ、日本からのアクセスをシャットアウトしている。コンテンツの有料化については動画サイトが何度となく「HD画質のみ有料」など有料サービスをはじめたものの、利用者は予想よりもあまりに少なかったことがしばしばニュースで報じられている。最近ではSTB(セットトップボックス)やスマートテレビの本体価格にコンテンツ数年ないし数カ月分の利用料を上乗せするベンダーも現れた。

 かつてコピーソフトなど海賊版が蔓延した日本では、時間をかけて人々が正規版を買うようになり「世界屈指の金払いのイイ国」となり海賊版利用率は低下した。一方、中国では人々の「無料で使おう」というマインドは変わらないまま、ベンダーが無料サービスを提供することで海賊版利用率は低下した。

 ただ、確かに海賊版利用率は全体を見れば減っているものの、国のルールにより日本が進出できないゲーム分野などでは海賊版ソフトが使われ放題となっているし、中国国外の著名ソフトの海賊版を配信するスマートフォン用アプリストアでは、無料化された海賊版も配信されている。また「パズドラ」と全く同じシステムのゲームが雨後の竹の子のように登場するなど、そういった面での中国的モノ作りは変わらない。

 では最近注目されているアジアの国々はどうか。多くの国を一緒くたにはできないが、PCとネットが普及していく中でWindowsやOffice、Photoshopなどの海賊版が利用され続け、またいくつかの国では海賊版ソフトが多いアプリストアが現れているいることを考えると、日本よりも中国的ベクトルで海賊版を減らすのが現実的であろう。日本から無料動画コンテンツを求め優酷(YOUKU)などの検索数が多くなる中で、「無料のアジア、有料の日本」を貫き通すと、不公平を感じる人が多くならないか、不安である。

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