都条例めぐる“分裂”終止符、2大アニメイベントが統合 「AnimeJapan」3月開催へ
東京都の青少年育成条例をめぐり、同じ時期に開催されていた「東京国際アニメフェア」と「アニメコンテンツエキスポ」が統合する形で新イベント「AnimeJapan」が誕生する。
「東京国際アニメフェア」(TAF)と「アニメコンテンツエキスポ」(ACE)が統合する形でアニメイベント「AnimeJapan 2014」が来年3月22〜23日の2日間、東京ビッグサイトで開かれる。東京都の青少年育成条例改正をめぐり、都が携わるTAFへの参加を取りやめた出版社らがACEを開催する分裂状態になっていたが、「世界最大のアニメの祭典に」と発展的に統合する。
都の姿勢を批判してTAFへの出展をとりやめていたKADOKAWAの井上伸一郎専務は「(わだかまりは)根本的には解けていないが、自主的に運営できることを確認でき、自分の中では義が立った。納得いった」と話した。
AnimeJapan 2014は東京ビッグサイトの東ホール全部(1〜6)を使い、2日間にわたって実施。KADOKAWAや東映アニメーション、アニプレックスなど19社で構成する実行委が主催し、日本動画協会と漫画出版社で作る「コミック11社会」が後援する。
一般ファン向けの展示・物販ブースのほか、海外バイヤーなどとの商談などが行えるビジネスエリアも設ける。ステージは会場内に4〜5程度設け、ファン向けのイベントのほかアニメビジネスに関連したカンファレンスも実施するなど、ファン向け中心だったACE、ビジネスデーを設けていたTAFの両方の特色を1つのイベントにまとめる。新イベントでは「バイヤーにもファンの盛り上がりを感じてほしい」とビジネスデーは設けていない。2日間で10万人の来場を見込む。
TAFは2002年から都が関わる形で開催してきた国内最大級のアニメイベント。2010年、漫画・アニメの表現規制を盛り込んだ都の青少年育成条例改正を大きな問題となると、TAFの実行委員長を石原慎太郎都知事(当時)が務めていたこともあり、当時角川書店の社長だった井上氏が「都の姿勢に納得がいかないところがある」としてTAFへの出展とりやめを表明したほか、コミック10社会(当時)なども出展を拒否。8社が新たにACEを立ち上げ、同じ時期に2つの大型イベントが開催される事態になっていた。
都はTAF運営の民間移行を進め、新イベントの発足で手を引く形になる。AnimeJapan実行委員長を務める布川郁司・日本動画協会理事長は「TAFとACEが分かれた時は、われわれはそうは思っていなかったが、業界が2つに割れたのではという話は耳に入ってきていた。同じ業界なので結束しなければと、互いに緊密になり、一緒にやっていこうということになった」と説明。イベント名は、海外からもバイヤーやファンが訪れるような「アニメの日本代表になる祭典にしたい」と名付けたという。
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