現実空間にバーチャルな車や住宅の実寸大データ──キヤノン「MREAL」に手持ち型ディスプレイ
キヤノンは、車や住宅などの実寸大デジタルデータを現実空間に重ねて“体感”できるシステム「MREAL」を搭載した製品の第2弾として、手持ち型ディスプレイを12月中旬に発売する。
キヤノンは、現実映像とデジタルデータをリアルタイムに融合するMR(Mixed Reality)システム「MREAL」を搭載した新製品として、手持ち型ディスプレイ「HH-A1」を12月中旬に発売する。
指定のマーカーを認識し、現実空間に対象物のデジタルデータを実寸大で重ね合わせることができる技術。日産自動車や大林組などがすでに導入しており、車体デザインや建築物のデザインや設計のプロセスで使われているという。
昨年7月に発売したヘッドマウンドディスプレイ型に続く第2弾で、手で持って双眼鏡のようにのぞきこんで使う。小型軽量化を実現し、ベルトで頭に固定する従来形に比べて複数人での利用がしやすくなったため、ショールームや展示会、イベントなどでの利用を見込む。カーペット型のマーカーを使えば、設置や持ち運びも容易だ。
新製品に合わせてソフトウェアもアップデート。従来機器では、装着している人しかデジタルデータを重ねた映像を体感できなかったが、ネットワークカメラに映る映像にリアルタイムにデータを合成し、客観視点としてディスプレイに映し出せるようになった。また、機器の上部にサブカメラを装着することで位置や高さの認識を行い、より自然に精度の高いデータ合成が可能になった。
発売から約1年で22社25部門に導入され、うち44%は製造業、11%が建設・建築関係。製品のデザインレビューや、工場をはじめとする生産設備の設置シミュレーションなどに利用するケースが多いという。購入者の26%が大学法人で、研究の一環として流体力学のシミュレーションや被災地の様子を再現するなど、「数字や写真だけではわからない部分を直感的に理解するためのコミュニケーションツールとして多様な使われ方をしている」(イメージコミュニケーション事業本部 MR事業推進センター 鳥海基忠所長)という。
発売当初の販売台数目標には届いてないが、「2年目に入ってやっと用途に広がりが見えてきたところ。今回の新製品でさらに使ってもらえるシーンが増えるのでは」(鳥海所長)と期待を寄せる。今後は、導入企業の要望や意向に合わせ、より高い解像度の映像への対応や機器の無線化を検討するという。
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