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「広く問題提起」──ドワンゴ「入社試験に受験料」発案の川上会長に聞く、その真意と“就活”観(1/5 ページ)

新卒採用に「受験料」を導入するドワンゴ。社内でも反対が多かったという試みについて、自ら発案したという川上量生会長にその背景や意図、過熱する就職活動をどう見ているかについて聞いた。

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 「niconico」を運営するドワンゴは、2015年新卒採用に受験料制度を導入する。ネットでは「面白い試み」「合理的」「どう変化があるか楽しみ」など肯定的な意見の一方、「多数の企業が導入すれば学生の経済負担が増すのでは」といった懸念の声も上がるなど、大きな反響を呼んでいる。賛否両論は「予想通りの反応」という同社の川上量生会長。受験料制度導入に踏み切った背景について聞いた。

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川上量生会長

──「受験料制度」のアイデアは川上会長があたためていたもの?

 そうです。何年か前から考えていて、今年やっと準備が整いました。

──どういう背景があったのか

 その前に、まずドワンゴの成り立ちについて触れたいと思います。

 ドワンゴはもともと、友人同士の優秀なエンジニア集団と“ダメ人間”のゲーマーたちで始まった会社です。創業したての小さくて若い企業に高学歴でコミュニケーション力が高い立派な人なんか集まってくるわけもなく、「この人大丈夫かな?」と思ってしまうような人にもやむを得ず働いてもらっていたんです。――でも、結果的に、創業初期の大きな事業の成功にも「ニコニコ動画」のスタート時にも“廃ゲーマー”たちに何度も助けられたんです。

 彼らはゲームばかりやってきた人間で、学歴もないしゲームの話しかできないし、世間一般には絶対に評価されない存在。間違いなく“ダメ人間”ですが、心血をゲームに注いでいただけで、優秀だったんですよね。「ダメな人がうまいこと生きていける環境を作れるのは素晴らしいな」とその時思って。適切な役割とタイミングが合えば、人の能力はかなりの確率で引き出せることを僕は実感を持って知りました。

 なので、「社会的に問題はあるけど能力が高い人」を拾いたい、という意識がずっとあります。「2ちゃんねる採用」「一芸採用」などの“裏口採用”も実験して、いかに「うちでしか働けない」人をとるかを考えてきました。それが会社にとっても社会にとっても意義があることだと思ってきたわけです。例えば5年前まで、エンジニアのトップに大卒の人間はほとんどいなかった。中卒や高卒でも、小さい時からプログラミングが好きで好きでたまらなくて能力の高い人はきちんと会社として評価していたんです。

 とはいえ、この数年でずいぶん状況は変わっています。僕は今、ほとんど新卒採用に関わっていないんです。最終面接にすら出ていかない。なので3年くらい前に初めて、今は高卒を採用してないことやSPI(適性検査)で「足切り」をしていることを知って怒ったんです。だってSPIでふるい落としたら他の会社と同じですよね? 普通の会社はとらないけど優秀な人、を探してきたはずなのに。

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