ニュース
「日本のIT、完敗の恐れも」 ヤフー、「パーソナルデータ」活用規制に危機感(2/2 ページ)
「日本のITが完敗してしまう恐れもある」――ヤフーは、政府の「パーソナルデータに関する検討会」事務局が示しているデータ保護の方針に異議を唱える。
一方で、プライバシー面での懸念や不安も尽きない。昨年、JR東日本が、「Suicaでの乗降駅、利用日時、鉄道利用額、生年月、性別およびSuicaID番号を他の形式に変換した識別番号」から成る利用データを日立製作所に提供したことについて批判や不安の声が上がり、JR東がデータ提供を中止するという事態に発展した。
別所氏は、JR東が日立に提供したデータについて「個人が特定できないデータだったにも関わらず、ユーザーが気持ち悪さを訴えた」と指摘。「ビッグデータはまだ使い方が定まっておらず、いろいろな可能性を試みている段階。ユーザーが『気持ち悪い』と思うからといって利活用できなくすると、新たな使い道が分からないまま、使えなくなってしまう」と懸念する。
ヤフーが志向するのは、事業者にプライバシーポリシーの策定を義務づけるなど業界の自主規制を促しつつも、自由なデータ流通を推進するあり方で、米国のデータ流通の形に近いという。一方で検討会の方針は、一定の条件を満たさない限りデータが流れないという、EUのデータ流通の形に近いと指摘。米国でITビジネスが繁栄し、EUで衰退した背景にはデータ流通の違いがあったとし、日本のIT産業振興のためには米国型を採用すべきと主張する。
ヤフーは今後、検討会の事務局と意見交換しながら、同社の考えを伝えていくとしている。検討会は6月までに法改正の内容を大綱として取りまとめ、来年にも国会への法案提出を目指す方針だ。
関連記事
- JR東、Suicaデータ社外提供の再開を当面見送り
JR東日本は、Suicaデータの社外提供の再開について当面見送る。9月25日までとしていた除外申請についても引き続き受け付ける。 - ヤフー、ビッグデータとアドテク活用でマーケティング事業強化 ビデオ広告にも本格参入
ヤフーは、ビッグデータとアドテクを活用したマーケティング事業を強化する。各分野の企業計5社と協業し、ビデオ広告事業にも本格参入する。 - 「われわれも驚いている」――参院選「Yahoo!検索」予想は9割一致 山本太郎氏の当選は予想できず
「Yahoo!検索」のデータを基にした政党別議席数予想は、全議席の9割で的中。予測チームも「驚くほど」の一致率だったが、山本太郎氏の当選を予想できないなど課題も浮かび上がった。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.