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「“iPSはがん化リスク高い”は誤解」――山中教授がYouTubeで自ら訴え、STAP細胞との比較に懸念
「STAP細胞がiPS細胞より安全で効率が高いと報道されたことを、たいへん残念に思っている」――山中伸弥教授がiPS細胞の安全性を語る動画がYouTubeで公開されている。
「STAP細胞がiPS細胞より安全で効率が高いと報道されたことを、たいへん残念に思っている」――京都大学iPS細胞研究所(CiRA)はこのほど、所長の山中伸弥教授が、iPS細胞の安全性などについて語る動画をYouTubeで公開した。
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「iPS細胞の医療応用に期待してくださっている患者さんへ」と題した動画。その中で山中教授は、STAP細胞の論文について「心から感動した」と絶賛し、「私たちの研究所でもSTAP細胞の研究を行いたい」と語る。
その上で、「STAP細胞がiPSより安全、iPSより効率が高いと報道されたことをたいへん残念に思っている」とし、8年前、マウスで初めてiPS細胞を樹立した当時は実際、樹立効率が低くがん化リスクもあったが、現在は研究が進んで効率が高まり、「がん化の危険性もほとんどないといっていいぐらい小さくなった」と訴える。
いまのiPS細胞研究は「8年前とは違って十分、実用段階に達している」とし、「iPS細胞研究に協力、期待している人々に対して「どうかご安心ください」と呼びかける。また今後は「STAP細胞を含めオールジャパン体制で、この分野の研究を日本がリードしていきたい」と語っている。
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