震災ドキュメンタリー「ガレキとラジオ」の“やらせ”に役所広司さん怒り「二度と上映されるべきではない」
東日本大震災のドキュメンタリー映画「ガレキとラジオ」に“やらせ”演出があったとの報道に、ナレーションで出演した役所広司さんは「今後二度と上映されるべきものではありません」と強く非難している。
東日本大震災の被災地を描いたドキュメンタリー映画「ガレキとラジオ」に“やらせ”演出があったことがわかった。監督は「ドキュメンタリーとして許される範囲の『演出』として考えておりました」とコメントしたが、ナレーションを担当した俳優の役所広司さんは「今後二度と上映されるべきものではありません」と強い言葉で非難している。
「ガレキとラジオ」は、東日本大震災で大きな被害を受けた宮城・南三陸町に生まれた災害ラジオ局「FMみなさん」のラジオクルーと人々の歩みに1年間密着したドキュメンタリー映画。博報堂の企画・制作のもと2012年に公開し、現在も全国各地で自主上映会が続いている。
劇中でリスナーとして登場した70代の女性は、実際はラジオの電波が届く地域外に居住しており、撮影班の求めで演技をしていたと朝日新聞が5日に報道した。スタッフが用意したラジカセで別の音源を聴き、「いつも聴いている」「音がないと寂しい」などのセリフの指示を受けたとされている。
この報道を受け、梅村太郎監督、塚原一成監督の2人は公式Facebookページでコメントを発表。「その方は『FMみなさん』の電波が届かない地域にお住まいでしたので、ラジオ番組を録音したCDを提供し、聴いて頂いておりました」とスタッフ側が機材を用意したことを認めつつ、「ドキュメンタリーとして許される範囲の『演出』として考えておりました」としている。
映画の趣旨に賛同し、ボランティアでナレーションを担当した俳優の役所広司さんは自身のブログで「今後二度と上映されるべきものではありません」と強い口調で非難。「真実の部分は多々あると思いますが、この『ヤラセ』の部分の演出を知っていて作品を完成させた制作側に、大きな責任があると思っています。この映画が世に出てしまったことが残念でなりません」と落胆を見せ、「作品の身の引き方として不足、欠点のないよう締めくくって頂きたいと心から思っています」と今後の厳粛な対応を求めた。
公式Facebookには「やらせがあった以上、もはやドキュメンタリーではない」「映画がどーこーより、支え応援してくれてた人の気持ちが心配」「『記録』として価値がある、当該箇所を削除したものを再度公開してほしい」などのコメントが寄せられている。
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