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「データの扱い、極めてずさん」 STAP細胞問題で理研が中間発表 画像切り貼り「いけないとの認識なかった」(3/4 ページ)

理研が「STAP細胞」の論文の疑義についての中間報告を発表。野依理事長は「未熟な研究者が、膨大なデータをずさん、無責任に扱い、本来あるべきでないミスが起きた」と話し、陳謝した。

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「論文の体をなさない」 撤回すすめた決定打

 疑惑が報じられた当初の段階で理研は「科学的事実に揺るぎはない」とコメントしていたが、「少し楽観的に見ていた嫌いがあることは否めない」と研究担当理事の川合眞紀氏は反省する。

 竹市雅俊CDBセンター長が同センターの3人に対し論文の撤回をすすめた決定打となったのは、小保方氏の博士論文の画像がNature論文に流用されていた事実だ。「完全に不適切な図表で、論文の体をなさない、論文として存在すべきでないと判断した」という。

 撤回を求めた際、小保方氏は「心身とも相当消耗した状態」(竹市氏)で、「はい」と答えてうなずいたという。

「未熟な研究者による、極めてずさんなデータ管理」と野依氏

 論文の主だった部分の作成は、小保方氏と笹井氏の共同作業だったという。小保方氏は「Nature論文には経験不足」(石井氏)として論文の流れなどは笹井氏が指導。画像の管理などは小保方氏が行っており、疑惑が持ち上がっているのは「小保方氏が管理していた画像で、論文作成を笹井氏が指導したところ」(石井氏)だ。

 他論文から明記なく引用したり、誤った画像を載せて気づかないといったことは「科学者の常識から考えると、少し常道を逸している」(川合氏)。電気泳動画像を切り貼りしたことは「研究者倫理に沿っておらず、倫理的には正しくないデータ処理」(同)だ。

画像
野依理事長

 小保方氏は「科学者としては非常に未熟な状態」だと竹市氏は言う。「未熟な研究者が膨大な実験データを集積しながら、無責任・ずさんに扱った。本来あるべきでないことが起きた」と野依理事長は話す。

 小保方氏がユニットリーダーに就任した背景について、竹市氏は「過去の調査が不十分だった」と反省する。小保方氏は「STAP細胞の研究にインパクトを感じて」(竹市氏)公募で採用され、研究費1000万円と人件費1000万円を任されていたという。

 「チーム間の連携に不備があった」(野依理事長)とも。今回の研究には4チーム・14人が関わっている。「伝統的な科学研究の多くは、比較的狭い分野別に、単一の研究グループで行われていたが、今はネットワーク型の知識時代で、先端的研究は分野横断的に行われるようになっている。自立した研究者の相互の信頼とともに個々のグループの確実な実験結果を統合し、全体の正当性を検証するプロセスを可能にする責任者が必要だ」と野依理事長は指摘する。

 理研の研究者が論文を投稿したり学会発表する際は、所属長の許可を得た上で行うが、「全部の論文を隅々まで見ているかというとケースバイケース」(川合氏)。投稿時は、共著者全員で中身を検証するのが「常識」だが、「今回はそれがなされていたとは言い切れない」ため、「常識と思っていたことも含め、理研の中で確認をとっていく」(同)。一方で「発想の自由度は担保しないと新しい科学は生まれない」のも事実。「自由度と、間違いがないようにする体制とのバランスで管理したい」(同)。

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