「大辞泉」アプリ無料化が終了 “ソシャゲ風課金”に挑戦も収益につながらず
iOS向け辞書アプリ「大辞泉」が再び有料化。「ソーシャルゲーム風課金」機能を実装した無料モデルは「収益に結びつけることができなかった」という。
アプリ開発などを手がけるエイチエムディティは4月8日、iOS向け辞書アプリ「大辞泉」の新版「2.0」を有料(2000円)で公開した。昨年5月に公開した前バージョンは、アプリ本体を無料化し、「ソーシャルゲーム風課金」機能を実装する新たなビジネスモデルに挑戦したが、「成果を収益に結びつけることができなかった」ため、有料に戻したという。アプリを収益化する難しさが改めて浮き彫りになっている。
大辞泉は、26万2500語を収録した辞書アプリ。前バージョンでは全機能を無料化し、機能の使用に回数制限をかけていた。回数制限は、時間の経過か、有料アドオンの購入により解除されるという“ソーシャルゲーム風”ビジネスモデルに挑戦していた。
同社はブログで、再有料化の経緯やダウンロード数、課金率などを詳細に報告している。ダウンロード数は公開から11カ弱で約15万と「辞書アプリとしては、充分に大きい」数だった。検索語をサーバに送信する機能を通じ、1日平均約3000の語が検索され、1日当たりのユニークユーザーは約1250人いたことも分かった。
だが、利用制限を解除するアドオンの購入率は0.5%と「かなり低い。採算とれるかどうかのラインは5%程度なので、まったく届いていない」結果に。「辞書アプリでのフリーミアムモデルは、戦略的に間違いだった」と結論し、「このまま無料を続けても赤字がふくれあがる一方」のため、再有料化を決めたという。
今後は有料アプリとして、語句をいかに素早く効率よく検索できるかという、辞書としての機能向上を目指して開発を続けていく。ただ、「有料アプリの販売数が下がっている、という問題は解決しておらず、フリーミアムもその解決策にはならないと分かった」とし、新たな策を模索する。
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