KDDI、過去最高益に 「マルチデバイス」で今期も2けた成長目指す
「約束通り、2けたの利益成長を達成できた」――KDDIの14年3月期は、営業収益が初めて4兆円を超え、営業利益、純利益も過去最高を更新した。今期はマルチデバイスを訴求し、さらなる成長を見込む。
KDDIが4月30日に発表した2014年3月期通期の連結決算は、売上高に当たる営業収益が前期比18%増の4兆3336億円と初めて4兆円を超え、営業利益は29%増の6632億円、純利益は33%増の3320億円とそれぞれ過去最高を更新した。「お約束通り、2けたの利益成長を達成できた」――田中孝司社長は決算会見で胸を張った。
au純増数は前年比7.5%増の281万。契約者のスマートフォン浸透率は49%に高まった。下がり続けてきた通信ARPU(契約者1人当たりの通信料収入)は4200円と前期比微減だったが四半期ベースでは1〜3月期に反転し、前年同期比90円拡大した。「auスマートパス」など付加価値サービスのARPUは330円。
今期は契約者数拡大に加え、「1人1台からマルチデバイスの時代への転換期」と位置づけ、マルチデバイス化を推進。スマートフォンやタブレットラインアップの魅力を高めたりテレビ用STB「Smart TV Box」を拡販するなどし、265万の純増と通信ARPUの反転増(前期比50円増の4250円)を目指す。
ただ足元では、4月のスマートフォン販売が前年比1割〜1割強減っているという。MNPのキャッシュバック合戦が終わり「少し落ち着いている」ことに加え、「消費税の影響もあったのでは」と田中社長。「今年度は価格訴求ではなく価値訴求へと進め、スマートフォンの販売を伸ばしたい」と述べる。
夏からは電子マネーカード事業「au WALLET」をスタート。付加価値サービスを物販などのリアルサービスに広げる。通信環境の整備も進め、「LTE-Advanced」の技術「キャリアアグリゲーション」を夏をめどに導入。下り最大150Mbpsエリアを急拡大させる。
15年3月期の業績予想は、営業収益が前期比6%増の4兆6000億円、営業利益が10%増の7300億円、純利益が31.7%増の4240億円と、2期連続の2けた成長を目指す。
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