かっこよく、安く、限定販売──中国の国民的スマホになった「小米」(Xiaomi)のプロモーション術(2/2 ページ)
たった12時間で130万台・約240億円を売り上げるスマートフォンがある。日本でもその名を知る人が増えてきた中国メーカー「小米」(Xiaomi)。端末の魅力もさることながら、そのプロモーション方法も人気を押し上げる要因だった。山谷氏による現地からのリポート。
海外市場進出の成否は
小米手机ユーザーが増えた結果、その故障率の高さも明るみとなり、マニアの不満を買うことになった。現在でも小米手机はブレイク中だが、マニア的にはそれが一番クールな中国産スマホというわけではなく、OPPOや魅族のほうがよほどいい──と思われている節がある。ただフォローすれば、筆者自身も小米の「紅米手机」を愛用しているが、パッケージから説明書、「MIUI」という名の小米オリジナルのユーザーインタフェースまで、実に初心者にフレンドリーな作りとなっている。
結局、現在のところOPPOや魅族は小米との競争に勝つことはなく、小米だけがマスも含めて中国内外で注目を集めている。数年かけてガジェット通の間からユーザーが増えていき、やがて通なスマホという評判が口コミで周囲に広がり、小米はマスの中で「こだわりあるスマホ」ポジションを獲得した。中国のスマートフォンマニアは「OPPOや魅族は製品が優れていて、小米はマーケティングが優れていた」と口をそろえる。
小米やOPPOは、新興国など海外市場を視野に入れている。小米は先月BRICsやASEANなど10カ国に進出することを発表し、今月シンガポールで開かれた「Startup Asia」でも海外進出を意欲的に語った。ただ新興国ではインターネット環境は未整備な部分もあり、習慣も異なる。中国でWebサイトでの販売を重視してきた小米式マーケティングがそのまま通用するかは微妙なところ。逆に中国式PRにこだわらず、進出先の国々で成功を収めれば、小米を始めとした中国メーカーの世界市場シェアはさらに拡大し、中国製スマホがスタンダードになる可能性もある。
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