米FCC、「ネット中立性」問題でISPの「高速車線」を認める投票
米連邦通信委員会が「ネット中立性」を守るための新たな規則案を公開した。ISPによるコンテンツプロバイダーのブロックは禁じるものの、有料で優先回線を提供することは認める内容だ。
米連邦通信委員会(FCC)は5月15日(現地時間)、インターネットの中立性をめぐる規則案に関する投票を行った。FCCはこの規則案を公開し、一般からの意見を募集している。
業界が注目する「高速車線(Fast Lane)」については、3対2で認める結果になった。この結果は最終的なものではなく、一般からの意見募集とそれらの意見を検討する期間を経て年内に最終投票を行うことになっている。
高速車線というのは、ISP(インターネットサービスプロバイダー)が、コンテンツプロバイダー(NetflixやAmazon、Googleのようなサービスプロバイダー。エッジプロバイダーとも呼ばれる)に対し、有料で高速回線を提供することを認めるというもの。
既にNetflixとComcast、Verizonが回線容量の優先割り当て契約を締結している。これは米連邦政府が目指すネット中立性に反するとして議論を呼んでいるが、FCCはISPによるエッジプロバイダーのブロックは禁じるものの、高速回線については認める方向だ。
FCCはまた、ISPを電話サービスと同じ電気通信サービスに再定義すべきかどうかについても一般からの意見を募集する。ISPは現在、情報サービスと定義されており、このためFCCはISPを規制できない状態になっている。
米連邦政府はこの投票結果を受けて「最終的な規則がネット中立性の精神に忠実なものになるよう希望を持って今後のプロセスを注意深く見守っていく」という声明を発表した。
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