片山被告、起訴内容全て認める 弁護士「悪魔が仮面をかぶっていた」
PC遠隔操作事件の公判で、片山被告は起訴内容を全て認めた。佐藤弁護士は「悪魔が仮面をかぶっていた」と述べ、彼を犯罪に駆り立てた「社会がかかえている悪魔」を解明すべきと訴えている。
4人の誤認逮捕につながった遠隔操作ウイルス事件で起訴されていた片山祐輔被告(32)の公判が5月22日、東京地裁であった。片山被告は罪状認否で「全部事実です」と述べて起訴内容をすべて認め、誤認逮捕された人などに謝罪した。佐藤弁護士は公判後の会見で片山被告について、「悪魔が仮面をかぶっていた」と述べ、彼を犯罪に駆り立てた「社会がかかえている悪魔」を解明すべきと訴えた。
片山被告はこれまでの公判で無罪を訴えていたが、保釈中に真犯人を装ったメールが送られ、送信元となったスマートフォンが捜査関係者に見つかるなどし、「言い逃れできない」と一転、自らの犯行を認めた。
佐藤弁護士は公判後の会見で、「片山被告は非常に頭の回転の速い人だが、完全に間違ったことに使っていた」と指摘。マルウェアの「マル」(mal-)が「悪」の意味を持つことを引いた上で、片山被告について、「悪魔が仮面をかぶっていた」と指摘した。
ただ、「善なる部分が悪魔の方をずっと見続けていたことも事実」で、犯行の詳細を説明できるなど「自分の悪魔性を説明できる」とも。弁護団は片山被告に対して、「サイバー空間でヒーローになりかけていたが、間違ったヒーローが仮面をぬぎ、自分自身を見つめ直す時だ」などと説いているという。
弁護側は今後の審理で、被告の精神鑑定を求める構えだ。減刑のためではなく、「現代社会には“片山祐輔予備軍”がたくさんいるかもしれない」ため、「彼がどうして犯罪者になったかに光を当てる」ことが目的という。「社会が抱えているとんでもない悪魔を白日のもとにさらすことが、これからの私たちの仕事だと思っている」
佐藤弁護士は法科大学院の学生に対し、「刑事弁護人には悪魔を弁護する覚悟が必要」と説いてきたが、「まさか自分がこれだけの悪魔と対峙しなきゃいけないとは思ってこなかった」とも述べた。
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