「VAIO株式会社」始動 国内市場限定・ネット通販のみ 事業規模縮小で早期黒字化へ(2/2 ページ)
ソニーのPC事業を引き継いだ新会社「VAIO株式会社」が発足した。当面は国内限定、「ソニーストア」の通販のみで販売するなどソニー時代より規模を大きく縮小し、早期の黒字化を目指す。
販路は「ソニーストア」に集中 ソニーロゴなしの「VAIO」発売
ソニーストアを運営するソニーマーケティングと販売総代理店契約を締結。当面の販路は、ネット通販サイト「ソニーストア」に集中させる。一部量販店などにソニーストア注文端末を設置し、店頭でもソニーストアに注文できるようにするが、量販店での展示販売は行わない。法人向けにはソニーストアや代理店経由で販売する。
「高い評価・実績がある2機種でスタートし、ビジネスを軌道に乗せたい」――第1弾として、軽量Ultrabook「VAIO Pro 11/13」とスタンダードノートPC「VAIO FIT 15E」をソニーから引き継いで販売。端末から「SONY」ロゴを消すなど一部仕様を変更して提供する。個人向けには7月1日に発売。法人向けには8月上旬に予約販売をスタートする。
調達能力低下が課題に
世界市場から実質的に撤退し、国内向け通販に絞り込むことで、販売台数はソニー時代の5〜6%に激減。部品などの調達能力の低下は「課題」(同社の赤羽良介副社長)と認めつつ、安価な標準部品を可能な限り使うなどしてコストを削減し、利益を出していくという。
ソニーの13年3月期のPC事業は、売上高4182億円に対し917億円の営業赤字だった。新会社では事業の黒字化に向け、固定費の徹底的な削減や、「いたずらに価格競争に陥らないよう」(関取社長)戦略的な商品設計・値付けを行うとしている。
PCの役割の一部がタブレットやスマートフォンに移り、市場は縮小しているが、関取社長は「PCはなくならいないという強い信念を持っている。真剣に向き合う作業や生産性を上げたり何かを生み出す作業はPCの領域ではないか」と述べる。
Androidなどモバイル向けOSを搭載した端末の可能性について問われると、「まずは事業を軌道に乗せた後、違うアイデアにも挑戦したい」と、否定しなかった。
関連記事
- 「自由だ。変えよう」 新生VAIOティーザーサイト公開
「自由だ。変えよう」――ソニーのPC事業を引き継いだ新会社「VAIO株式会社」がティーザーサイトを公開した。 - 「VAIO株式会社」発足へ ソニー、PC事業売却で正式契約
ソニーがPC事業の売却で正式契約。「VAIO株式会社」が事業を開始する。 - 「VAIO」売却は「苦渋の決断だった」 ソニー、エレクトロニクス立て直しへ、テレビ分社化など抜本改革
「PC市場に一石を投じてきたブランド」だったが──「VAIO」の売却という「苦渋の決断」に至った背景には、「ジャンク」扱いにまで格下げされた同社がエレクトロニクス事業の立て直しを急いでいることが背景にある。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.