「21世紀の新たな“立ち読み”の形」 Twitterで読める電子書籍ビューワー、KADOKAWAの狙い
Twitterのタイムライン上で電子書籍が読めるePubビューワーを角川アスキー総合研究所が開発した。Twitterの拡散力を利用し、新規読者にリーチする手段にしたいという。
Twitterタイムライン上で電子書籍が読める世界初のePubビューワーを角川アスキー総合研究所が7月2日、公開した。デバイスを問わずタイムライン上で“立ち読み”できるのが特徴で、KADOKAWAの角川歴彦会長は「21世紀の出版社ができることを考えた、新たな“立ち読み”の形」とTwitterの拡散力に期待する。
Twitterカードの仕組みを利用し、コミックや書籍などのePubデータをツイートに埋め込むことで、他サイトに遷移せずタイムライン上で数ページを試し読みできる。最後まで読み切ると、ワンクリックで電子書籍購入ページへ移動する。
期待するのはTwitterユーザー間の拡散力を利用した新規読者の獲得だ。RTで紹介しやすく、感想やおすすめのコメントとともに、出版社や作家主導ではなく読者同士のソーシャルリーディングを一層促進するのでは――と、角川アスキー総研の社長を務める角川会長は期待する。
対応作品は「tw-epub.com」にまとめられており、作品ページからツイートすれば誰でも埋め込みツイートを投稿できる。現在は決められた冒頭の数ページを読める仕様だが、今後特に共有したいページをユーザーが選べる機能などを拡充していく予定だ。
オープン時点で約7000点が対応。現在までに他社を含む2万点の掲載依頼があり、順次追加していく予定という。当分は出版社のみを対象とするが、今後個人ユーザーにも開放していければと話す。
角川会長は「21世紀の出版社ができることを考えた、新たな“立ち読み”の形。感想や感動の共有から始まる読書はこれからもっと広がっていくと思う」と意気込む。「米Twitter本社に説明に行った時、『自分たちが予想もしない新しい使い方が次々生まれてくるのはうれしい。日本はある意味米国よりも成功している場所』と言われたことが印象的。紙の書籍を含め、市場を盛り上げていくためにSNSを活用しているユーザーの声を一層くんでいけたら」(角川会長)
開発に協力したTwitter Japanの牧野友衛執行役員は、(1)漫画やアニメに関する感想の共有はTwitter上で日常的に行われており、既にユーザーニーズが明らか、(2)漫画家や作家自らがTwitterを発信ツールとして利用していること――などから親和性は高いのではと話す。画像や動画を使ったツイートは拡散しやすく、“立ち読み”のフックがあることは強いと期待する。
業界を横断するオープンプラットフォームを目指し、積極的に提携を進めていく姿勢。現在はKADOKAWAグループの電子書籍ストア「BOOK☆WALKER」の販売ページにリンクする形だが、今後他のストアへの対応を含め、他事業者との協力を検討していく。
新サービスは「第18回国際電子出版EXPO」(7月2日〜4日、東京ビッグサイト)で披露した。
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