漫画・アニメ海賊版「大規模削除」始動 正規版サイト「Manga-Anime Here」オープン
「海賊版からは新しい才能は生まれてきません」――日本の出版社、アニメ関連企業などが協力し、漫画・アニメ海賊版の大規模削除などを行うプロジェクト「MAG PROJECT」がスタートする。
「海賊版からは新しい才能は生まれてきません」――日本の出版社、アニメ関連企業15社が参加する「マンガ・アニメ海賊版対策協議会」は7月29日、日本の漫画・アニメ海賊版の大規模削除などを行うプロジェクト「MAG PROJECT」(Manga-Anime Guardians Project)を8月1日にスタートすると発表した。まずは漫画約500作品、アニメ約80作品について、5カ月間集中的に削除依頼を行い、正規版のリンク集「Manga-Anime here」に誘導する。
対象作品は、ネット上で侵害が確認されていること、正規流通が行われているか予定があることを基準に選んだ。削除依頼対象サイトは、ストレージサイト、Torrentサイトに加え、アニメは動画投稿・共有サイト、海賊版動画へのリンク集「リーチサイト」を、漫画はオンラインリーディングサイトを対象とする。
正規版コンテンツのリンク集「Manga-Anime here」を7月30日にオープン。ファンを海賊版から正規サイトに誘導する。啓発のための動画も30日に公開し、「名探偵コナン」「ONE PIECE」「進撃の巨人」のキャラクターなど、出版社・アニメ製作会社の枠を越えたキャラクターがメッセージを送る。動画のオリジナル楽曲は「JAM Project」が手がける。
MAG PROJECTは「出版社、アニメ制作会社の枠を越えた、マンガ・アニメの“輝ける未来”を考えるプロジェクト」という。プロジェクトの中心は「マンガ・アニメを楽しんでいる世界中のファン、つまりみなさま」であり、「海賊版からは新しい才能は生まれてきません。みなさまに正しい形でコンテンツを楽しんでいただくことが、クリエイションの現場を活性化し、想像を超える新たな作品が生まれるきっかけとなります」としている。
プロジェクトは、経済産業省の13年度補正予算「コンテンツ海賊版対策強化事業」の委託事業。事務局を務めるコンテンツ海外流通促進機構(CODA)は、「海賊版の存在がコンテンツ海外展開の大きな障害の1つになっている」と指摘。ユーザーが海賊版を利用しなくなる理由の調査で、「海賊版が見られなくなること」「正規配信が増えること」が上位にあがっているとし、海賊版削除と正規配信への誘導を進めていく。
関連記事
- 「漫画版YouTubeを」――読者が漫画ファイルをアップ、作者の許可得て無料公開 Jコミ「絶版マンガ図書館」で海賊版を撃滅へ
「Jコミ」が「絶版マンガ図書館」に改名。ユーザーが持っている絶版漫画の電子書籍ファイルを、作者の許諾を得て無料配信する新サービスを始め、ラインアップの拡充と海賊版の撲滅につなげる。漫画のセリフ検索機能も導入し、利便性・収益性を強化する。 - 「楽天市場」海賊版対策強化 楽天が調査購入、権利者が鑑定
楽天とCODAが海賊版対策で連携。楽天市場で海賊版の販売が疑われる場合、楽天が調査購入し、権利者が権利侵害の有無を鑑定する。 - “コンテンツは無料”に慣れきっている中国人 人気の日本発アニメ・コミック
「海賊版天国」と揶揄される中国だが、改善している面もある。海賊版対策として正規コンテンツを無料配信するビジネスモデルが広がった結果、中国人は無料に慣れきっているという。現地からのリポート。 - コンテンツ海賊版の押収が374万枚に CODA実績
コンテンツ企業や著作権者団体などで構成するCODAが、香港、中国、台湾で当局と共同で実施してきた海賊版の押収実績が約374万枚に。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.