Pinterestは「未来を描くツール」 創業者・デザイン統括のシャープ氏が語るサービスの本質
Pinterestのデザインを統括するエヴァン・シャープCCOが来日し、単なる画像共有にとどまらないサービスのコンセプトや独自性について語った。
米Pinterestの共同創業者・エヴァン・シャープCCOが来日し、画像共有SNS「Pinterst」のデザインコンセプトや新機能について語った。画像を保存することが目的ではなく「未来の自分の姿や生活を描いてもらうツール」とサービスの本質を説明する。
Pinterestはネット上やフィードで見つけた画像を自分の「ボード」に「ピン」(スクラップ)して保存/シェアできるサービス。ユーザー単位ではなく興味関心によってボードが分かれており、雑誌をめくるように自分の好みにあった画像を収集・閲覧できるのが特徴だ。現在までに約300億のピン、約7億5000万のボードが作られているという。
共同創業者の1人でWebサイトやアプリのデザインを統括するシャープCCO(Chief Creative Officer)は、Pinterestの本質を「ビジュアルな発見ツール」と説明する。SNSのように友人や家族とつながるのではなく、あくまで自分自身の趣味や嗜好を中心に、新しいコンテンツに出合えることが他サービスとの大きな違いと話す。
「過去を保存するのではなく、未来の自分の姿や生活を思い描いてもらうためのサービス。部屋の模様替え、旅行で行きたい場所のプランニング、ほしいファッションアイテム、チームやプロジェクトでのイメージの共有――など、写真やイラストは考えやアイデアを広げるきっかけ」(シャープCCO)
Pinterestの特徴としてよく言及されるのが、画像を強調したグリッド式のデザインだ。これは「最初から決まっていたわけではない」とシャープCCOは明かす。ベン・シルバーマンCEOとともにサービスを立ち上げた2010年時点では建築家として働いており、当初は個人的なプロジェクトとして進行していた。その後事業として展開を始めてからも「ビジネスとしてではなく、見ていて楽しいこと、クリエイティビティを刺激することを考え、何度も試行錯誤を重ねてきた」(シャープCCO)と振り返る。
高いデザイン性を実現するために重要なのは技術力。デザインとエンジニアリングの融合を“編む(knitting)”という言葉で表現し、ユーザーに自信を持ってサービスを提供するためにデザイナーとエンジニアがお互いに密にコミュニケーションしながら高めていく重要性を強調する。
新機能として、昨年リリースした「ピンを送る」機能を8月7日にアップデートし、メッセージ形式で会話しながらピンを共有できるようになった。アプリやWebサイトから遷移せずに最大10人までのグループの作成が可能で、旅行や休日の計画を立てたり、アイデアのブレインストーミングなどに使ってほしいという。
昨年11月に日本版の提供が始まり、ユーザーは当時の1.8倍程度に増えているという。「Pinterest上では日本の食べ物や景色、観光地などは人気のあるコンテンツ。日本のみなさんが興味のあるものをさらに世界に発信してほしい」(シャープCCO)
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