Microsoft、クラウドゲーミングの遅延解消技術「デロリアン」を発表
Microsoft Researchが、プレイヤーの次の一手に「投機的実行(speculative execution)」で対応することでクラウドゲーミングのレイテンシを解消する新技術「DeLorean」を発表した。
米Microsoftの研究部門、Microsoft Researchは8月21日(現地時間)、クラウドゲーミングの最大の問題である遅延(レイテンシ)によるストレスを解消するための新技術「DeLorean(デロリアン)」を発表した。
クラウドゲーミングとは、Microsoftの「Xbox One」のようなストリーミング配信式のゲームのこと。プレイヤーのインプットの演算処理などをすべてサーバ側で行うため、データが往復する時間「RTT(Round-Trip-Time)」の分、スタンドアロンのゲーム端末より遅延が発生しやすい。
論文(PDFの)によると、ゲームはビデオストリーミングなどと異なりバッファすることができないので、ネットワーク環境が整った住居でもクラウドゲーミングでは100ミリ秒以上のレイテンシが発生するという。同社は、プレイヤーは60ミリ秒のレイテンシでも気付き、100ミリ秒を超えるとイライラするという調査結果を紹介している。
DeLoreanは、この問題をユーザーの次のインプットを予測し、先行してデータを送るという「投機的実行(speculative execution)」システムで解消しようというもの。過去のプレイヤーの膨大なデータとプレイヤー個人のデータを分析して予測する、いわゆる「マルコフモデル」のシステム。ネットワークを高速化するのではなく、複数のレスポンス候補を事前に送ることで、プレイヤーのインプットへのレスポンスを速くする。
実際に「Doom 3」と「Fable 3」でテストしたところ、250ミリ秒のレイテンシがある環境でもストレスなくプレイできたという。
DeLoreanが実用化されるかどうか、Xboxで採用されるかどうかなどは不明だ。
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