「バイオハザード6」を生んだ3DCG制作手法とは――カプコンのアーティストが披露
3Dモデリングに注目が集まる中、プロの現場で用いられている3DCG制作手法とは――。「バイオハザード」シリーズなどの有名ゲーム作品を手掛けたカプコンのアーティストによるレクチャーの様子をレポートする。
3Dプリンタや3Dデータ共有サイトなどに注目が集まる今、自ら3Dモデルを制作したいと考える人も少なくないだろう。プロの現場ではどのように3DCG制作が行われているのか――東京・新宿でこのほど開かれたクリエイター向けイベント「Wacom Creative Seminar」では、「バイオハザード5 Alternative Edition」「バイオハザード6」「FolksSoul」などの有名ゲーム作品のアートワークを手掛けたカプコンの黒籔裕也リードアーティストが登場し、実際の作品制作の様子を紹介していた。
今回披露されたのは、ペンタブレットなどを使って“粘土をこねるように”3Dモデルを造形していく「スカルプトモデリング」と呼ばれる手法。黒藪さんはワコムのペンタブレット「Intuos Pro」とスカルプティングソフト「ZBrush」を用いた3DCG制作の様子を紹介し、会場に集まったクリエイターの注目を集めていた。
クリーチャーの多くは「実在するもの」をモデルに制作 プリセットツールもフル活用
バイオハザードシリーズやFolksSoulで主にクリーチャー(生物)のアートワークを担当している黒藪さん。「モデリングを行う際は、実在するものを参考にイメージや質感を考えていくことが多い」とキャラクター造形の秘けつを明かす。
黒藪さんがZBrushを用いた3Dモデリングを始めたのは、2007年8月にリリースされた「ZBrush 3.1」から。作品制作に当たっては、ソフト内の仕組みを最大限に活用して3Dモデリングを行っているという。
その具体例が「用意されているマテリアルの活用」だ。ZBrushでは何もない状態から3Dモデルを制作することもできるが、さまざまな種類のマテリアル(造形要素)がプリセットで用意されている。黒籔さんはゼロから3Dモデルを制作するのではなく、用意されたマテリアルに盛り付けていく形で3Dモデリングを行っているという。
3Dブラシツールも用途に応じて細かく使い分けているという。黒藪さんが主に使っているZBrushの3Dブラシは「Clay Buildup Brush」「Clay Tubes」「Move Elastic」「Move Topological」「Dam Standard」「Snake Hook」の6種類。中でもClay Buildup BrushとClay Tubesについては「その名の通り、粘土を盛りつけるような操作性で“アナログ”に近い感覚でモデリングできる」と話していた。
関連記事
- 「ニコニ立体」で3Dモデリングコンテスト 優秀クリエイターには賞金20万円など
「ニコニ立体」が3Dモデリングコンテストを開催する。応募は11月24日まで。 - リアルな街並みがゲームに ゼンリン、3D都市モデルデータをゲーム開発用に提供 秋葉原データを無償公開
ゼンリンが国内主要都市の街並みを再現した3D都市モデルデータをゲーム開発企業などに提供。秋葉原中心部を再現した「Japanese Otaku City」を無償公開。 - 「しずかちゃんの入浴シーン」CG化で生々しく 3D「ドラえもん」映画、監督は「すごく悩んだ」
初の3DCG「ドラえもん」映画「STAND BY ME ドラえもん」の監督は、しずちゃんの入浴シーンをどう描くか「すごく悩んだ」という。「立体感があって肌の質感が生々しくなってしまう」ためだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.