「デイジーデイジー」歌った半世紀前の音声合成をキャラ化した「chipspeech」、その意外な歌唱力(3/3 ページ)
50年前、30年前に合成された音声で自由に歌わせることができる。しかも日本語で。
日本語で歌わせてみた
以上、ざっと解説してみたが、もとの音声が英語であり、使われたパソコンやゲーム機、アーケードも日本ではほとんど使われていないことから、あまりなじみのないかもしれない。しかし、chipspeechはこの7人全員が日本語で歌えるのだ。
英語はアルファベットで英単語を自動判別し、日本語はひらがなで入力するが、X-SAMPAを使った細かい発音文字も可能。PRESETでは日本語の「歌詞」まで用意されている。「やろう、ぶっころしてやる」「ゆっくりしていってね」「日本語でおk」「水戸黄門」……。え? さらに、「キュンキュン」「タイガー」「ドキドキ」「ハイハイ」「ラブラブ」「ワクワク」「萌え萌え」。曲としては「さくらさくら」。どうしてこうなった。
実際に日本語を歌わせてみたが、音素によってはうまく歌えないものある。Dee Klattなどは全体的には良好なのだが、語尾がちょっと不自然になる。「ん」を単独発音させることはすぐにはできなかった。発音記号のX-SAMPAで入力すればできるのかもしれない。
chipspeechの3人のバーチャルシンガーにリレー形式で荒井由実の「卒業写真」を歌ってもらった作例がこちら。Dee Klatt、Lady Persec、Bert Gotraxの順番で歌ってる。それぞれ特徴のある、悪くない声だと思うのだが、いかがだろうか?
MIDIキーボードをつなげば、遅延がほぼない、リアルタイムでの演奏も可能だ。VOCALOIDやUTAUと違って、音符に直接歌詞を入力するものではないので、ちょっと不便なところもあるが、声質を細かくコントロールできたりポリフォニックが簡単に使えたりと、最新の歌声合成よりも多機能な部分もある。ぜひ次のバージョンではNEC PC-6601やYAMAHA PLG100-SGをキャラ化してほしい。
日英バイリンガルな歌手が7人使えて95ドル(執筆時点では75ドルでセール中)。人と違った歌声がほしい人はオーディションしてみてはいかがだろうか。
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