iPad/iPhoneボカロエディタがPC版と同等に 本格的になったヤマハの新アプリ「Mobile VOCALOID Editor」を使ってみた(3/3 ページ)
ヤマハがPC版VOCALOID 3 Editor相当の機能を持つiOSアプリ「Mobile VOCALOID Editor」をリリース。より本格的な“調教”が指先でできるようになったので、早速使ってみた。
iOS版ならではの入力機能
最新のボカキュー(VOCALOID4 for Cubase)にはあるが、スタンドアロンのVOCALOID Editorには実装されていない便利な機能がある。それは、MIDIキーボードによるリアルタイム入力だ。ピアノロールの画面に1音ずつ置いていくのではなく、鍵盤を弾いたものがそのままノートになる。それに後から歌詞をつけていくという作業はとてもはかどるのだ。これがiOS版でも使える。
使えるというより、もっと楽だ。画面の下に鍵盤を表示させてそのまま入力できるから。CoreMIDIに対応した豊富なiOS向け外付けキーボードを接続してメロディーを入れることもできる。VOCALOIDトラックでRECボタンを押せば、すぐに入力可能だ。
実を言うと、リアルタイムで弾く必要もない。ピアノロール画面にしてSTEP INというボタンをオンにしておけば、指定した長さで鍵盤を押す度にその音高のノートが追加される。いわゆるステップ入力。ノートの長さは後で調整すればいいという人は使うといいだろう。
伴奏もその場でレコーディングできる。MONO、STEREO、いずれのトラックも、iOSデバイスのマイクから直接レコーディング可能。ギターの弾き語りや自分の鼻歌を録音しておいて、それにVOCALOIDでメロディーと歌詞を推敲しながら重ねていくこともできるのだ。
普段使いのiPhoneで、思いついたらすぐに鼻歌を入れたり、鍵盤でメロディーを入れ、歌詞を考える。iVOCALOIDのときにはどちらもできなかった。実は作曲用ツールとして理想的ではないだろうか。
初音ミクなど、サードパーティーのボカロは来る?
ヤマハのVOCALOIDチームが開発に3年をかけたという、この新しいVOCALOID Editorは、Windows版VOCALOID Editor、VOCALOID Editor for Cubase、クリプトン・フューチャー・メディアのPiapro Studioと機能的にも並ぶ、第4のボカロエディタとして使われていくことになるだろう。
容量の問題もあり、数Gバイトにも及ぶVOCALOID3、VOCALOID4というよりも音質的にはVOCALOID2に近いものだが、実用上はそれほど問題はないし、最近リリースされている音源もダウンコンバート可能なようだ。英語VOCALOID対応も視野に入っているそうなので、CYBER DIVAあたりが登場すれば、現在は国内ユーザーのみを対象としているiOS向けVOCALOIDも海外に広がる可能性が見えてくる。
筆者の音楽制作のほとんどはiPhone/iPadのGarageBandで行い、それをMacのLogic Pro Xにクラウド経由でもってきて、細かい調整だけやって終えている。グロウルや複数ライブラリのクロスシンセシスといったVOCALOID4の表現力はたしかにすばらしいので最終的にはそれを使うにしても、ほとんどの作業はMobile VOCALOID Editor上でこなし、PCやMacで仕上げるといった使い分けが1つの手法として認知されていくのではないかと期待している。
歌手1人をアルバム1枚分で買える。ほぼフル機能。iPhoneでも使える。内蔵鍵盤リアルタイム入力。指先でパラメータ描画。ボカロネットフル対応。バッキングの録音も可能。作曲ツール、音のスケッチとしても優秀。
ボカロネットを経由すれば、PC、Mac、iPhone、iPadとデバイスを入れ替えながら作業を進めることができる。これは同じプロジェクトファイルをボカロネットからiPhone 6 Plusで読み込んだものだ。
これからはVOCALOID調教が場所、デバイスを問わず本格的にできる。そんな時代になった。
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