社内ソーシャル導入に失敗しないための「5つのステップ」:企業内SNSの“理想と現実”(3/3 ページ)
部門を超えた素早い情報共有や、効果的なノウハウ共有などを可能にする「社内ソーシャルシステム」。この仕組みを自社に正しく取り入れるためのポイントとは? 社内ソーシャルの導入事情に詳しいサイボウズ・伊佐政隆氏による寄稿連載の第4回。
5、ツールの選定を行おう
「スムーズな業務進行」と「関係者との共有」――これらのメリットを両立させるため、あらためてソーシャルツールの導入を検討してみましょう。
電話やメールで行っていたやり取りをソーシャルツール上に移せば、プロジェクトの進行状況が可視化されます。一方で、ソーシャルツールは部門を問わず宛先を自由に設定できるので、必要なメンバーだけに情報を提供することもできます。
また、スマートフォン/タブレット向けアプリも充実しているため、関係者が情報へアクセスするコストを下げるだけでなく、迅速な意思決定が求められるシーンでも有効に働くはずです。
効果的に導入するコツは、(1)既存のコミュニケーションのあり方で問題ない業務、(2)ソーシャルツールを使ったほうがプロジェクトを円滑に進められる業務――と、コミュニケーションパスごとに使用するツールを整理することです。この整理を行わず「とりあえずプロジェクトメンバー全員でメーリングリストを作って……」となってしまうと、課題は解決されることなく現場スタッフの業務負担が増えるだけなのです。
一方、新たなツールを導入しなくても社内ソーシャルの仕組みを実現する方法も複数存在します。例えば、すでにグループウェアを導入している場合だったら、そのグループウェアに注目してみるのも1つの方法です。
グループウェアをソーシャルツールのように使うための機能は、すでに各社のサービスに搭載され始めています。サイボウズの大企業向けグループウェア「サイボウズ ガルーン」を例に挙げると、社内コラボレーションを支援する「スペース」という機能を搭載しています。この画面とソーシャルツールの画面を比較してみても、機能にほとんど差がないことが確認できるはずです。
連載の初期にも触れましたが、現場スタッフにとって「新システムの導入」は業務負担の増大につながります。現場を支援するために新たな仕組みを導入するはずが「面倒くさい」と思われてしまっては、何も始まりません。ユーザーの負担を増やさず社内ソーシャルシステムを導入するためにも、すぐに新たなツールに飛びつくのではなく、すでに導入しているツールの機能で補えないか確認してみることをおすすめします。
まとめ
今回は「社内ソーシャル導入に失敗しないための5つのステップ」をご紹介しました。あらためてそのポイントを見てみましょう。
- ターゲット業務を決める
- 役割分担とコミュニケーションパスを整理する
- 情報共有の手段と目的を洗い出す
- ボトルネックを定義する
- ツールを選定する
社内ソーシャル導入成功に向けては上記のステップを踏み、自社の業務を整理してからツール選定を始めることをおすすめします。このステップを参考に、より多くの企業でソーシャル活用が進み、業務が改善されれば何よりです。
さらに最近では、社内ソーシャルの仕組みを応用して「企業間のコラボレーション」を実現する企業も増えつつあります。次回はこうした事例をはじめ、ソーシャルツールが広げていく未来についてご紹介します。
・連載「企業内SNSの“理想と現実”」の記事一覧はこちら
著者プロフィール
伊佐政隆(いさ まさたか)
サイボウズ株式会社でエンタープライズグループウェア「サイボウズ ガルーン」、業務アプリクラウド「kintone」(キントーン)のプロダクトマネージャーとして大手企業への導入提案、製品企画、プロモーションを担当。企業が直面する「情報共有の課題と価値」について常に考え、経験を重ねている。
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