Tポイント・ジャパンが「脱メール」できたワケ:企業内SNSの“理想と現実”(3/3 ページ)
部門を超えた素早い情報共有や、効果的なノウハウ共有などを可能にする「社内ソーシャルシステム」。導入に成功した企業が取り組む“一歩先の活用法”とは? 社内ソーシャルの導入事情に詳しいサイボウズ・伊佐政隆氏による寄稿連載の最終回。
真の「ソーシャル化」がもたらすもの
今の時代、スピードに価値があることは明らかです。顧客に「スピード」という価値を提供するため、Tポイント・ジャパンは企業間での業務プロセスの見直しが必須だと考えました。メールでのやりとりが本当に効率的かどうか見直す流れは、今後も多くの企業に広がっていくことでしょう。
さて、これまで全5回に分けて、多くの企業が社内ソーシャルの導入に失敗してしまう理由や、成功するための秘けつなどを分析してきました。導入に失敗した企業をみると「無目的な導入」や「いきなりソーシャルツールを全社導入してしまう」など、「ツールありきのマインド」になっているケースが多々ありました。
これらの罠にはまることなく“社内ソーシャル文化”を定着させた企業の多くは、業務のスピードアップや、関係者間での効果的なノウハウ共有、拠点が離れたメンバーとの一体感の醸成――など、従来のメールでは得られなかったメリットを享受しています。このように部門や組織を超えたスピーディーな連携を実現できれば、多くの日本企業が持っていない競争力を得られることでしょう。
本連載を最後までお読みいただき、ありがとうございます。
私はグループウェアベンダーとしてさまざまな企業やチームのご支援をさせていただく中で、ITツールの限界と可能性の矛盾を常に感じていました。
昨今、素晴らしいITツールはたくさんあります、デバイスの進化もあり、企業がコミュニケーションのあり方を変革する可能性は格段に広がっています。しかし、必要なプロセスを踏まずにツールの導入を進めたため、一部のメンバーにしか使われず忘れられていく――という残念な現実も多く存在するのです。
ツールはその土台となる制度・風土を整えれば、圧倒的に導入効果が高まります。これまで全5回にわたって連載してきた「企業内SNSの“理想と現実”」の記事が、これからITツールを使ってコミュニケーション変革を起こそうとする皆さまの一助になれば幸いです。
・連載「企業内SNSの“理想と現実”」の記事一覧はこちら
著者プロフィール
伊佐政隆(いさ まさたか)
サイボウズ株式会社でエンタープライズグループウェア「サイボウズ ガルーン」、業務アプリクラウド「kintone」(キントーン)のプロダクトマネージャーとして大手企業への導入提案、製品企画、プロモーションを担当。企業が直面する「情報共有の課題と価値」について常に考え、経験を重ねている。
関連記事
- 企業内SNSの“理想と現実”:社内ソーシャル導入に失敗しないための「5つのステップ」
部門を超えた素早い情報共有や、効果的なノウハウ共有などを可能にする「社内ソーシャルシステム」。この仕組みを自社に正しく取り入れるためのポイントとは? 社内ソーシャルの導入事情に詳しいサイボウズ・伊佐政隆氏による寄稿連載の第4回。 - 企業内SNSの“理想と現実”:「拠点間の距離」が意外な武器に――ある食品メーカーの風土がガラリと変わった理由
中国に現地法人を立ち上げたものの、営業スタッフ間の“物理的な距離”が遠すぎてノウハウがたまらない……そんな食品メーカーの悩みを打開した社内ソーシャル活用法とは? 社内ソーシャルの導入事情に詳しいサイボウズ・伊佐政隆氏による寄稿連載の第3回(後編)。 - 企業内SNSの“理想と現実”:大手学習塾で苦しむ「孤独な教室長」を救った“たった1つの仕掛け”とは?
「教室運営スタッフは自分1人、誰のサポートも期待できない」――そんな状況に苦しむ学習塾社員を救った1つの“仕掛け”とは? 社内ソーシャルの導入事情に詳しいサイボウズ・伊佐政隆氏による寄稿連載の第3回(前編)。 - 企業内SNSの“理想と現実”:なぜ日本企業は「社内ソーシャル」導入に失敗するのか
メールなどに代わるコミュニケーション手段として注目を集める「社内ソーシャルシステム」だが、導入に失敗してしまうケースも少なくない。その原因は何なのか。社内ソーシャルの導入事情に詳しいサイボウズ・伊佐政隆氏による寄稿連載の1回目。 - 企業内SNSの“理想と現実”:「ウチの社内SNSは活発だ」――そんな企業がコミュニケーション不全に陥った“2つの原因”
「情報共有を促進するためにソーシャルツールを導入したのにうまくいかない」――実際の事例から見えてきた“2つの失敗原因”とは? 社内ソーシャルの導入事情に詳しいサイボウズ・伊佐政隆氏による寄稿連載の第2回。 - 企業ソーシャル市場は年率約40%で拡大
IDC Japanによれば、ワークスタイル変化によるソーシャル技術を多用したコラボレーション需要などが市場拡大をけん引する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.