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生きている牛の“霜降り”状態を計測できる装置、産総研が開発
牛の“霜降り”の程度を、生きたままの状態で計測できる装置のプロトタイプを産総研が開発した。地盤工学などに利用するために開発した非侵襲スキャン技術を応用している。
産業技術総合研究所はこのほど、牛の脂肪交雑(霜降り)の程度を、生きたままの状態で計測できる装置のプロトタイプを開発したと発表した。牧場での肥育プログラムの改善や、競り市でのより正確な価格評価への応用が期待できるとしている。
地盤工学などに利用するために開発した、大きな物体でも表面から数センチ内部の部位を非侵襲スキャンでき、水分子と油分子を識別できる「片側開放型プロトン核磁気共鳴スキャナ」の技術を応用。牛の脂肪組織中の脂肪分子と筋肉組織中の水分子を推定することで脂肪交雑を測る装置のプロトタイプを開発した。
脂肪交雑は本来、ロース芯(胸最長筋)の霜降り状態で決まるが、体表から10センチ以上深いところにあるため同スキャナでの計測は困難。代わりに、より体表に近い僧帽筋を対象にした装置を開発し、僧帽筋、サーロイン、赤身など計17個の牛肉ブロックの試料を計測したところ、約10秒と短時間・高精度で脂肪交雑を測定できた。
今後は生きた肉用牛の計測を検討するほか、牛の筋炎など大型家畜の病気の非侵襲診断にも使える可能性があるとしている。さらに、ブランド豚やマグロなどへの適用や、老朽化したインフラのメンテナンス(トンネル壁をスキャンして水を含む空洞を検出)、油汚染土壌試料の計測(石油を含む部位の検出)など土木方面への応用も行いたいとしている。
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