奇抜なアイデアを形に、「実況」を味方に――広がる「自作ゲーム」の裾野 メジャーシーンと違う豊かさを(5/5 ページ)
「青鬼」「ゆめにっき」など、個人や少人数のチームが手掛ける「自作ゲーム」がゲームファンの間で存在感を高めている。ゲーム実況で人気に火が付き、映画化などメディアミックスにつながる作品も少なくない。メジャータイトルとは別の角度からファンを惹きつける魅力とは――。
――改めて、ユーザー、開発者双方にとっての自作ゲームの魅力は。
ゲームの面白さ、作り手の持ち味を、当人の裁量でとことん突き詰められる点です。ゲームメディアに四半世紀携わってきたライターとしては、現状のインディー・自作ゲームのシーンは、90年代前半あたりのゲーム業界の裾野──中堅メーカーの渋いタイトルや、謎の新興メーカーの謎の作品群に近い存在感を感じます。「それしかないとちょっと頼りないけれど、いざ全体を見回した時になぜか惹かれるにぎやかし」というと、語弊があるかもしれませんが、ゲーム業界全体の活況、盛り上がりには欠かせない要素の1つとして、開発者、ユーザーともに注目すべきジャンルだと思います。
採算や効率性ありきではないゲーム開発が魅力とはいえ、作り手自身が満足いくゲームを完成させるには、膨大な時間と気力、相応の資金が必要になります。ユーザーが支払う対価によってそれらをまかなえる状態が理想ではありますが、世界規模でヒットでもしなければ、なかなか難しいのが現状です。実際には「Flappy Bird」の作者のように、世界的にヒットしたことで新たな問題を抱える場合もあるようですが……。
その意味で、「ニコニコ自作ゲームフェス」の先にあるステージとして先月末に新設された「ニコニコゲームマガジン」には、ある種の期待があります。運営サイドのバックアップのもと、個人の作家性をキープしたままゲームを作り続けられる環境そのものは、自作ゲーム開発者が目指す目標の1つになるかもしれません。ここでの連載作品が、今後どのような形でパッケージングされるか、また、小説化、コミック化といったマルチメディア展開にどのように絡んでいくかも含めて、注目していきたいですね。
――初めて自作ゲームに触れるユーザーにおすすめの作品は。
「ニコニコ自作ゲームフェス4」の大賞作品で、「ニコニコゲームマガジン」の連載作品でもあるRPG「Hero and Daughter」は、ゲームテンポがよく、作者のこだわりが十二分に伝わってくる作品です。
昨年小説化もされた「クロエのレクイエム」は、ホラーテイストの舞台とギミックが満載のアドベンチャーゲーム。粗削りな作りながら、独特の物語世界に引きこむ力があります。サンドボックス要素を採り入れたSFアクションゲーム「ヒカリヲアビタイ」は、個人制作と思えないクオリティです。現在も着々とバージョンアップされているので、気になる方はぜひプレイしてみてください。
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