赤松健さんが語る「マンガ図書館Z」の狙い 「あらゆる作家が潤い、海賊版が絶滅する世界を」(2/2 ページ)
赤松健さん率いるJコミ「絶版マンガ図書館」がGYAOとの提携で「マンガ図書館Z」にリニューアル。海賊版撲滅と漫画家の収入源確立を目指し、さらに事業を拡大していきたいと意気込む。
海賊版撲滅に向け「これからが本番」 事業拡大目指す
赤松さんが自らの漫画家としての問題意識に基づき「絶版マンガ図書館」を立ち上げたのは2011年。規模の拡大につれ「自分の週刊連載を抱えながらでは、さすがに手が回らなくなってきた」(赤松さん)ことで、運営面をまかせられるパートナー企業を探していたという。GYAOとは昨年秋ごろから提携に向けて動き始めた。
赤松さんは新会社の取締役会長に就き、対漫画家に対する窓口と“サービスの顔”を引き続き務める。開発やユーザーサポート、法務などの運営面を新会社が行う。
Jコミックテラス代表の寺岡宏彰さんは「『創作者を尊敬し、利益を還元する仕組みを常に構築する』というGYAOの企業理念の1つと非常に親和性の強いサービス。赤松さんの志を引き継ぎ、読者、作家、出版社の3方よしの関係を築いていきたい」と話す。
ヤフーグループ内の電子書籍事業「Yahoo!ブックストア」が扱うのは出版社の持つコンテンツであり、「マンガ図書館Z」では既存の枠組みの外にあるニーズや期待に応えていきたいという。他サービスとの連携は検討中としつつ、「Yahoo!ブックストア」限定で「マンガ図書館Z」のコンテンツを配信し、他ストアとの差別化につなげる――などをあげた。
赤松さんは、当初から掲げる目的「海賊版の撲滅」に対しての手応えを聞かれ、「今までは練習期間、これからが本番」とコメント。漫画家から培ってきた信頼はそのままに、スケールを拡大することを見越した組織やシステムを構築し、今回の提携を機に一層認知と普及を広げたいと意気込む。
「目標は大きく、国会図書館にこの管理システムが採用されること。出版社が管理する以外の日本の全ての書籍を画像データとせりふで収蔵したい。あらゆる作家が潤い、ネットの海賊版が絶滅する世界を目指し、まずは既存作家の生活の助けとなること、新人の芽を伸ばすことに貢献していく」(赤松さん)
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