魚の1種に霊長類などに匹敵する論理的思考能力があることを確認したと、大阪市立大学の研究グループが発表した。従来、魚類は刺激への反応や単純な学習しかできないと考えられていたが、小さな脳でも複雑な情報処理能力があることが分かり、「これまでの常識を覆す成果」だとしている。
霊長類やイルカ、鳥類などで確認されている「A>BかつB>CであればA>Cである」という論理的思考能力について、カワスズメ科の熱帯淡水魚「ジュリドクロミス」を使って実験した。ジュリドクロミスは個体を識別できる上、力関係に順位があり、弱い個体は強い個体に対し劣位行動を示すことが分かっている。
実験では、同じサイズの2個体を闘わせ、勝った方をB、負けた方をCとした(B>C)。さらに別の個体AとBを闘わせ、Aが勝った(A>B)ことをCに見せた。
その上で、CをAに出会わせると、CはAに対し劣位行動を見せた。つまりCは自分がAより劣る(A>C)ことを、AとBの順位(A>B)から、闘わずして判断したことになる。この結果は12個体の「C」のうち11個体で見られ、ジュリドクロミスは「A>BかつB>CであればA>C」という論理的思考ができると結論した。
論文はスイスの生物学専門誌「Frontiers in Ecology and Evolution」(オンライン版)に掲載された。
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