新マルチメディア放送サービス「i-dio」、エフエム東京などが来年3月から 旧地上アナログ帯域を再利用
地上アナログテレビ放送の終了で空いた周波数帯を再利用してコンテンツを配信するV-Lowマルチメディア放送「i-dio」が来年3月にスタートする。
地上アナログテレビ放送の終了で空いた周波数帯を再利用する「V-Lowマルチメディア放送」が来年3月に始まる。愛称「i-dio」として福岡、東京、大阪でサービスを開始し、順次エリアを拡大、2019年度には世帯カバー率78.3%を目指す。成功には受信機の普及がカギになりそうだ。
V-Lowマルチメディア放送は、地上アナログテレビ放送の終了で空いた周波数帯(99〜108MHz)を再利用し、移動しながらスマートフォンやカーナビでコンテンツ受信できるサービス。放送波にIPパケットを変調して載せる「IPデータキャスト」(IPDC)を活用し、不特定多数に情報を提供する「放送」と、個別にデータを送る「通信」の同時活用ができ、映像や音声に加え画像や文字、ファイル、制御信号なども送信できるのが特徴だ。
総務省は、複数の事業者による参入機会を確保するためとして、放送局などインフラを整備する「ハード会社」と、放送業務を行う「ソフト会社」を分離する仕組みを導入。TOKYO FMと、各地のFM放送局が参加するJAPAN FM NETWORK(JFN)がハード会社「VIP」と、「東京マルチメディア放送」など全国6社のソフト会社を設立して参入した。番組を制作するコンテンツプロバイダーも加え、役割を3体制に分けて運営する。
全国を7つの地方に分け、各地域ごとにコンテンツを配信する。エフエム東京とJFNのハード・ソフト会社の持ち株会社、BICの藤勝之常務は「音声のラジオ、映像のテレビに次ぐ第3の放送。さまざまなデータの形で、地域ごとに異なる情報を提供できる」とアピールする。
視聴は基本的に無料。現時点では、アマネク・テレマティクスデザインと、エフエム東京子会社のTOKYO SMARTCASTの2社がコンテンツ配信を予定している。
アマネクの今井武CEOは本田技研工業出身。年間300万台の自動車へのチューナー標準搭載を目指し、気象や道路状況を配信する計画だという。車の位置情報をもとに周辺店舗の情報やクーポンも提供し、カーナビからスマホにクーポンのデータを送信して購買につなげる仕組みも用意する。
「受信料ではなく、スマホなどの誘導先で商売が生まれる。そうしたモデルを考える企業にコンテンツプロバイダーになってもらい、新市場を開拓してほしい」(BICの藤常務)
受信機として、放送波をWi-Fiに変換するスマホ用の「Wi-Fiチューナー」、自治体向けに防災ラジオ「MeoSound VL1」を配布するほか、チューナー内蔵のSIMフリースマホ「i-dio Phone」も12月に発売予定だ。今後はカーナビなどの機器に埋め込む受信モジュールを開発するという。
BICの千代勝美社長は「放送と通信を融合したビジネスモデルは世界初の挑戦。あらゆる機器にV-Lowの受信モジュールを埋め込み、新時代のエコシステムを構築する」と意気込む。
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