Kickstarterで目標達成後プロジェクト停止された「Listnr」、Cerevoブランドで発売へ(2/2 ページ)
Kickstarterで資金調達を達成したものの、運営側によってプロジェクトを停止されていたリスニングデバイス「Listnr」の製品化が決定した。開発主体を変更し、Cerevoブランドの製品として発売する。
Kickstarterの停止処分については、他のクラウドファンディングサービス上で第三者が作ったミラープロジェクトの存在が不正とみなされた可能性などを挙げつつ「何度か問い合わせたが『これ以上コメントできない』という繰り返しで、何らかの規約違反があったとみなされていることしか分からなかった」という。「よくある対応といえばよくある対応。もちろん悔しい部分もあるが仕方がない」。
一方、製品開発に当たっては体制の見直しなどで2〜3カ月の遅れが出た程度で、その後のプロセスに大きな影響はなかったという。
岩佐代表は、ハードウェアスタートアップにとってクラウドファンディングが果たす役割は「単なる開発資金調達にとどまらない」と話す。支援者から募った資金でプロトタイプを作成してユーザーに届け、そこで得られた支持や反響を投資家へのプレゼンなどに活用する。今回のように運営判断で停止される可能性もあるが「本質的なリスクとは思わない」。
「製品は世に出てこそで、お金を集めることが最終目標ではない。300人以上の支援者から6万3000ドルを集めたことで、ニーズを世に問い、反応を知るというクラウドファンディングの目的は達成できていた。製品化をそのまま進めるのは自然な決断だった」(岩佐代表)
もしハードウェアスタートアップが同様のトラブルに巻き込まれた場合には「冷静に第2、第3の判断をすること。落ち込んだり自暴自棄になっても仕方がない」とアドバイスを送る。開発協力してくれそうな他社に声をかけたり、別のクラウドファンディングサイトで再スタートしたり、プロジェクトの伸びが予想を下回っていたら改善する――など、あくまでも「製品を生み出すこと」を目的に動くべきだという。
「ハードウェア開発をしていると、予測不能なトラブルはこんなレベルじゃない。金型から作ったパーツのサイズがどうしても合わなかったり、工場が台風で稼働しなかったり……。意図的に間違ったことをするのは当然よくないが、前に進む中で予想外のことが起きるのは当たり前。今回は無事に発売に至ったので、支援してくれた300人以上の方々にあらためて注目してもらえれば」(岩佐代表)
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